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□Bitter×Bitter
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2月14日。
この日は大きなイベントが2つある。

「神宮寺さ〜ん!」

「お誕生日おめでとうございます!よかったらこれ…食べてください!」

「レン君!愛込めて作ったんだから食べてよ?」

そう、今日は俺の誕生日とバレンタイン。いつにも増してレディの視線が熱い日だ。

「あぁ、ありがとう。気持ちだけでも嬉しいのに…レディは俺を本気にさせるつもりかい?」

「キャーー!」

「ずるいずるいー!私も!」

「ちょっと押さないでよ!」

俺の軽い言葉に対する歓声もいつもより三割増し、って言ったところかな。

「ほら、そんなに焦らないで?今日は始まったばかりさ。俺のせいでレディが怪我でもしたら胸が張り裂けてしまいそうだ。だから…ね?」

いつからスラスラとこんな言葉が口から出るようになったんだろう。自分でも不思議だ。


「ごめんね、レン」

「昼休みにまた来るね」

「あぁ、レディ」

手を振る代わりにウインクを一つ。 本当は腰に手を回して送りたいところだが、両手が塞がっているから仕方ない。









「はぁ…」

部屋へ荷物を置いて一息。
一つ一つは軽くて小さくても、量があるとそれなりに重さや大きさも凄いことになる。


「人の机の上まで荷物を置いて…何故溜め息などついている」

「はっ、貰えない負け惜しみか?」

「俺とて一つや二つ貰っている。馬鹿にするな」



「へぇ?物好きもいるもんだね…さて、中身を開けようかな」

レディが俺を思ってよういしてくれたんだ、明日感想を聞かれた時に答えられるようにしておかなくちゃね。

「このCDは…あぁ、あのショートカットのレディだ。これは…この俺にぬいぐるみ、ねぇ…面白い」

俺が好きなアーティストのCD、可愛らしいマスコット、手作りだろうクッキー、たまに予想外なものが入っているのが毎年面白い。

「あれ、この包みは……」

可愛らしい色の袋でも、凝った装飾もないダークブルーの包装紙で包まれた箱。この包みは貰った覚えはない。

「カードか何か挟まってるかな?」

俺のベッドサイドだ。こんなところに聖川のものが混ざっている訳はないだろう。
包装紙を開くとチョコレートが有名な菓子会社の大きなロゴ。

「チョコレート、ねぇ…」

チョコレートがあまり好きではない俺に、こんなものを送り付ける人間は一人しか知らない。


「ん…そんなに甘くなくていいね」

読書をしている聖川を横目で見ると、肩が微かに動いたのがわかった。やっぱりそうだ。

「誰だろうね、直接手渡せない恥ずかしがりなレディは…ねぇ、聖川?」

「そんな者、俺は知らっ…ん、ふ…」

白々しい質問に振り向いた唇に、奪うようなキス。
逃げようとする舌を絡めとり、上顎をなぞると、いつもより甘いくぐもった声が聞こえた。
胸を押し返す手に力が増したのを合図に、解放してやる。

「ん、はぁ……美味しかったよ、ご馳走様」

「…はぁ、何のことだ」


「もう一度してみる?キス」

「馬鹿者っ!誰がお前なんかと…!」

それでもしらばっくれる気でいるのが気に入らなくて、お返しに耳元で熱っぽく囁くと、罵声が返ってきた。

嫌いな食べ物を貰って、悪くはないと思う俺はきっとどうかしているね。




2012.2.19




遅れてしまいましたが、レン様お誕生日おめでとう!


UTA☆PRI

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