蓮仁蓮

□夏を遊べ 海行こう
1ページ/1ページ

天が空高く青い
突き刺す刺激がじりじりと蓮二たちの肌をやこうとしていた
松の木陰にレジャーシートを敷いて、パラソルを突き立てると影がより濃くなる
仁王はTシャツを勢いよく脱いだ

「ほれ参謀、背中塗って」

ひょいと日焼け止めが蓮二の手の内におさまった

「あ〜マッサージされとるみたいで気持ちえぇ」
「変態、あとで交代してくれ」

わかったと言って仁王は短パンをぬいだ
派手なショッキングピンクに白いハイビスカスが散らばった海パン姿になった仁王は、あちち、あちちと独り言をいいながら砂浜をかけてゆく
蓮二はその背中を見送って散らかりっ放しの荷物をまとめた
レジャーボートに空気をいれる
シュコシュコと空気がはいって行くうちに蓮二もシャツをぬいだ
あつい
海の方に目をやると、仁王は一人遊泳区域ギリギリまで泳いでいくつもりらしい

レジャーボートはまだまだへなへなで蓮二は空気入れの足踏みを早めた
ひと泳ぎしてきた仁王が水、つめたかよ、と雫石を振ってくる

「やめろ」
「ビーチボールは俺がふくらましちゃる」

仁王はぺしゃんこのボールの空気口にくちをつけた

「飲み物はそっちのクーラーボックスの中だ」
「あ、参謀背中」
「うん」

仁王は途中まで膨らませたボールを放り出し、蓮二の背中に日焼け止めを塗ってゆく
薄めに塗ってもいいんじゃないかと思う程白い蓮二の背中におわり、とキスをした

「参謀、ボート持っていくけぇ、ボール膨らまして」

仁王はそういってボートを脇にかかえて走って行く
文句を言う暇もない
蓮二は言われたとおりボールに空気を入れたあと、仁王の後を追った
黒地に一本ずつ両端に白いラインの入ったシンプルな海水パンツに白砂がはねた
ボールをぶつける気満々だった

ボールは見事にボートに寝そべる仁王の上を越えていってしまった

「残念無念また来週じゃ参謀」

憎まれ口をたたく仁王の乗ったボートに追い付いた蓮二は船の片方に目一杯体重をかけた

「あ、参謀!」

見る間にボートの中に海水が流れ込み、ボートは仁王をのせて転覆した

「こん性悪が」

今度は仁王がビーチボールを追う
蓮二はボートをひっくり返したが後ろから何度も飛んでくるビーチボールがいまいましい

「どうじゃ、参ったじゃろ」
「ああ参った、参ったからブイの所までのせていってくれ」
「なんじゃ参謀泳げんの」
「ちがう、こき使ったんだから黙って言うことをきけと言っている」
「仕方ないのぅ」

蓮二とビーチボールを載せたレジャーボートは仁王に引っ張られ近くのブイまでついた

「あ〜もう足つかん」

蓮二は海水に降りた
まだ水温に慣れて居なかった身体には冷たすぎてあわててボートに捕まった
それを見て仁王が笑う

「ついたぞ」
「なにが、」
「足」

蓮二は涼しい顔ですまして言った

「6センチの差は大きいな」

仁王はそんなんおおきなか、と同じようにボートに捕まった
蓮二が止めたのも間に合わず、飛び付くので、案の定ボートは再び反転した
蓮二の肩に捕まった仁王が唇を寄せてくる
ボートが屋根になっているので2人の姿は誰にも見えなかった
まぁいいか、と蓮二はキスを容した

「腹へったから砂浜戻るけど参謀は、」
「もう少しいる」

なら、と仁王は一人泳いで行った
蓮二は浅瀬まで戻ってボートに乗って浮かんでみた
ギラギラとまぶしい太陽に少し頭痛を覚えて体を起こした
仁王はもう波打ち際で砂の城を造ろうとしていた

「ほら」

足でボートを仁王城のそばにつける
中には拳くらいのくらげが三匹もはいっていた

「おんし、小学生みたいな真似しなさんな」
「お前が言うな幼稚園児」


散々遊んで疲れた2人はゴミを纏めて身辺整理を始めた

「ちゃんと分別しろ」
「面倒くさいのぅ」

蓮二がてきぱき片付ける間、仁王はキョロキョロあたりを見回した

「参謀、シャワー百円じゃて」

もっとる、と尋ねる仁王に蓮二は財布を指差して見てみろと言った
中には百円玉は一枚しかない
困ったことに両替機がない
売店まではずいぶん離れている
2人は一緒に入ることにした

「6センチ背が高い参謀がシャワーもつなり」

にやにや笑う仁王が憎らしい
百円を入れたとたんに水が勢いよく飛び出した

「参謀、頭、あたましかあたっとらん」
「少しまて」
体勢を背中あわせにするとよく水がかぶれた
柳からはねるみずが勿体ないと思ってみている仁王の足を踏んだ

「早くしないと百円きれるぞ」

ならくっつくなり、と抱きついた仁王のわきをくすぐり、シャワーのとってを渡した
背中ごしに舌打ちが聞こえる

帰り道のバスは荷物がおおいので1番後ろを選んだ
お互い肩をよせあって眠りについてしまうほど疲れ果てていた

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ