蓮仁蓮

□ピロートーク
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蓮二は久しぶりに訪れた仁王の部屋の天井を見上げていた。
隣には先ほどまで情事にふけっていた仁王雅治がシーツにしがみつくようにくるまって眠っている。
そろそろ帰らなければ終電に間に合いそうにない。
「まだ帰らんで」
「起きていたのか」
「今起きた」
「終電に遅れる」
「泊まったらええ」
「そうはいかないな」
「なんで、新婚生活みたいで面白かろうが」
「人の夢とかいて儚いと読むのを知っているか、」
仁王はあきらめたのか、身体を起こした柳のシャツを柳めがけてぶつけた
柳は眉間にしわをよせたが、相手にする気もないらしく、あっさりきがえてしまった
「なんでこんな男にほれたんじゃ」
ふてくされていても、柳の寝ていた温もりを感じたくてベッドの上をコロンところがる
「こんな男がすきなんだろう」
柳は笑って上着に手をかけた
「お前は寂しがりやのくせに、人見知りで用心深い」
だからいつも何かにしがみついていたいんだろう、とかばんを背負うと、たまには甘えてすりよってみたらどうだ、とからかった
仁王はそんなん嫌いじゃろうが、と内心思ったが、優しくしてくれる、と聞き返した
「わからないな」
ほれみろ、と仁王はおもいきり息を吸った
柳の匂いがする
「きぃつけて帰りんしゃいよ」
「ああ、」
おやすみ、と柳はぐしゃぐしゃの仁王の髪をなでつむじにキスを落として出ていってしまった
「ほんま儚いのぅ」

儚いとしっていても諦められないものもある
この残り香を追う自分は滑稽だろうか

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