BASARA 長編
□竜の右目01
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「なぁ、お前も俺のこと化け物だと思うか?」
それが、初めてあの人にかけられた言葉だった・・・・・。
竜の右目 第一話
夏 深夜二時 都内某所豪邸前
普通、横っ腹から血を流して倒れている相手に対しての第一声は
「大丈夫ですか!?」だろ?
などと今の状況からすれば的外れなことを考えながら俺、片倉小十郎は目の前で煙草に火を点けている男に視線を送った。
そんな俺の今の風貌は
背中に"黒龍咆吼"と金糸で刺繍された特攻服で、顔つきは今し方人一人殺してきたのでは?と言わんばかりの悪相(後で聞いた話だが)。
おまけに足下には血で所々変色して明らかに"使い込まれています "的な木刀が転がっている始末。
誰が見てもかかわり合いたくない人種で、普通なら近づくことさえしないだろう。