いいわけ

□いいわけ ー其の八ー
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「まったく、酷い惨状だな」




「お♪大久保さん♪」




夕暮れ時。ちらほらと空席が出始めた頃、大久保さんはやっと私たちの前に来てくれた。



私は眠くなった目を擦りながら「うー」と唸り顔を上げる。



私の横で、坂本さんが楽しそうに唄をうたっている。



中岡さんは、半刻ほど前から、眠ったままだった。武市さんと以蔵は、長州に呼ばれていたため、随分前に帰ってしまった。




「小娘、お前はもう部屋へ戻れ」



「うえぇー部屋ですか…いあや、まだ片付け手伝わないっとっく」



呂律が回っていないのが私にも分かる。



しかし、なんだか、楽しい。



しかし、何故、大久保さんはいつもこんなに冷静な顔をしてられるのだろう。



「結構、飲んでるっぽかったのになぁ」



「…」



「お、くぼさんは酔わないんですか、お、さ、け」



私がふざけてチンピラみたいに顔を近づけると、「酒に飲まれたことはない」と言いながら、私を肩にひょいと担いでしまった。



いきなり、世界が反転し、私の脳はぐるんと波打つ。



「ちょ!」



「お、大久保さんー麻百合をもう連れて行ってしまうがですか」



後ろで坂本さんの声がする。



「もう十分だろう」



そういうと私を担いだ大久保さんはすたすたと歩き出してしまった。




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