お題

□ごめん、アイシテル
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「あ、れ…?」

見慣れない白い天井。ここはどこかと確認しようと起き上がろうとすれば、思い出したかのように香る血臭。部屋一面に広がるそれが自分のものだと気付き、こうなった理由もここにいる理由もなんとなくではあるが思い出した。

「そうか、私…」

(あの人を庇って怪我しちゃったんだっけ)

数時間ほど前のことであろうことを思い出し、少し自嘲じみた笑みを漏らす。おそらくここは自分が庇った彼の部屋。こんな形で入ることになるとは思わなかった。そもそも勝手に自分から庇って、こうやって世話になっているようでは忙しない。


そういえば昔からそうだった気がする。守ったつもだったのに何時の間にか守られてる。結局、彼に対する自分は何も変わっていないのだ。

「…情けない」

言いながら体を起こし、周りを見渡す。必要最低限の物しか置かれていない、殺風景なそれなりに広い部屋。それはここの住人であろう人物の性格を簡単に表しており、相変わらずなんだな、と少し笑みが零れる。自分の血の香りに紛れて感じる彼の気配。今近くにいるんだなと思うと、少し喜びを感じた。

「ああ、起きたのか」

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