お題
□タバコ味のキス
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そんな優姫に零は何となしに言う。
「ま‥別にいま吸わなくても、20歳超えたら普通に吸えるんだしな、」
「っえ、零、タバコ吸うの?」
「さあ‥そんときにならないとわかんねえけど、」
そういえば優姫のまわりはタバコ吸わないやつばっかりだ、と零はふと思った。
理事長がタバコを吸っているところなんて見たことない。そもそも優姫のまわりは大人があまりいない。だからこそタバコが身近なものではないのだろう。
それに対して零にとってタバコ=師匠のようなもので、それは自分にとってとても身近なものだ。
だからか、吸う気にもなった。
ふと目線を下げると、優姫はめずらしく真剣に考え込んでいる。
「優姫‥?」
「ちょっと待って!いま、零がタバコを吸ったらどうなるか考えてるから!」
はあ?と今日二回目の呆れは声には出さず、まだ唸る優姫を零はぐしゃっと頭を手掴みにした。
「わ!‥え、ぜ、」
零、と優姫が言い終わる前に目線を同じにして逃がさないように優姫を片腕で押し止めたまま、零はほんのり赤い唇にちゅ、と軽く口づけた。