お題

□タバコ味のキス
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モクモク、ヤニ臭い匂い。

それは黒主家では縁のないもので、優姫はその匂いのする方向へ猛ダッシュ。




「零!何してるのっ、」



閉めきっていたドアを開けて叫ぶ優姫の目に映ったのは、窓際に寄って煙草を吸う零の姿。

零は優姫を見ても、戸惑う様子もなくまた煙草を吸う。その姿があまりに見慣れなくて知らないひとのようで、優姫の頭は困惑を増した。



「ぜ、零‥どうして、」

「気分転換。」



あっさり言い放つ零に優姫は目くじらを立てる。



「だ、だめだってば、零はまだ未成年なんだよ!」



慌てて走って零の手のタバコを奪おうとしても、身長差から優姫の手には届かない。



「お前危ないだろ、火傷する‥。」

「だ‥だって零が‥、零の不良ー!」

「はぁあ?」



いまどきタバコの一本くらいで、と零は思うが、ぽかすか叩く優姫に瞳を潤ませられると彼は何も言えなくなってしまう。

それは零にとっていつものことで、諦めたように息を吐いた。



「わかったって‥、もう吸わないから。」



吸いかけのタバコの火を消し、持っていた携帯灰皿にそれを捨てる零に優姫は安心した笑みを見せた。



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