お題

□タバコ味のキス
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すぐに唇を離しても、何が起こったかわかっていない優姫は目を見開いたままだった。

それに零は少し笑ってしまったけれど、その笑みは優姫にはいじわるなものに見えたらしく、見る見る顔を赤くした。



「っぜ、ぜぜぜぜ零!なっ‥なに、」

「タバコ、吸ったらこうなるってことだろ?」

「へ??」



きょと、と目を瞬く優姫に零はイタズラっぽく口端を歪めたまま。



優姫は見てて飽きない。ころころ表情を変えるから。



すると優姫は零の言った意味にやっと気付いたらしく、林檎のように顔を真っ赤にして睨みを効かせた。



「く‥口苦い‥、」

「タバコ吸ったあとだからな。」



さらっと言う零にいつものように優姫は勝てずに、ぶすっと捻くれた。



「零のばかっ!タバコなんて絶対許さないんだからね!」



喚く優姫を適当に宥めながら、零はタバコもいいかもしれない、と思った。

まあそれも、20歳になったときのこいつ次第だな、とばかばかと怒る優姫を見て、零は思ったとかなんとか。



そして優姫も、タバコを吸っていた零が実はかっこよかったなんて絶対に言うものか、と心に誓ったという。


fin



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