お題

□心はアゲナイ
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ハンターに飼いならされたい純血の姫なんて聞いたことないでしょ。

だけど、今は零よりも私にこれが必要みたい・・・。
優姫は月の光を受けてきらりと光るブレスレットをじっと見つめた。

もし・・・今度あの別れの日みたいに零に抱きしめられる事があったら・・・

無意識でも零のにおいで私は血が欲しくてたまらなくなる・・・。
そして・・・血を求めて欲しくなる・・・今夜の夢の様に・・・。

未だ疼く首元を慰める様に、優姫はゆっくりとブレスレットを押し当てた。

熱を持った肌はひんやりとした金属の冷たさと鋭さに吸いつかれてぞくりとする。

その冷たさと鋭さが零の浅紫の視線みたいで、心臓が跳ねあがった。

どうしてか、このまま今目を閉じれば、夢の中で零と出会いそうな気がして・・・

深く息を吸うと、優姫は堅く目を閉じてそっとまだ見ぬ夢の中へ滑り込もうとした。


fin



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