お題

□心はアゲナイ
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「もう不安になることはないか。」

零がくれた優しい言葉。
自信はないけれど・・・吸血した私の血の中に、
運命に押し流されそうな、自分を見失いそうな不安を見たからだと思う。
零の言いたい事は分かっていた。
私が零に傍に居て欲しいのか、必要としているのかそれを知ろうとしていた。

「うん。」

顔を合わせないまま、発した言葉で、私は初めて自分の気持ちに嘘をついた。

ヴァンパイアへの気持ちと私への気持ちで引き裂かれる零の葛藤を見て・・・
大事な人だったから苦しかった。
ずっと零を救いたいと思っていたのに、一番傷つけたような気がして
自分に自信が無かった。

好きだけど・・・どうしていいか分からない・・・。
・・・だから、嘘をついた。

別れ道・・・・。
こみあげてくるものが大きすぎて、涙が止まらなくて。

もうどっちを向いて歩いているかもわからなかったけれど・・・決して決して振り返っちゃダメだとは本能的に感じていたから・・・力の入らない足を必死に動かした。
振り返ったらもう嘘はつけないから・・・。




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