お題
□心はアゲナイ
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そこまで思い出して、「ふふ・・・っ」と優姫は自嘲気味に微かに笑った。
―零の事、いつか、私に告げずに、一人でどこかに行ってしまうんじゃないかなんて思ってた事もあったのに・・・。あんな日が別れなんて誰が予想できただろう。
首元の涙をぬぐった手元をそっと見つめる。
その手首にかかるブレスレットだけが唯一学園時代を思い出させるもの。
ずっと近くに居たのに・・・真実は一つだったのに。
こんなに離れたところまで来てしまって・・・現実はやけに複雑で・・・。
時々、人生は簡単な事がひどく難しいし、有得ない様な事が簡単に起こる。
ねえ。
こんなにも幼くて、自分の気持ちにも零の気持ちにも気が付けなかった私を
ずっと好きでいてくれたなんて、零はお人よしすぎるよ。
だから、零と別れても、いつかまた・・なんて気持ち・・・捨てきれない。