SSS

□ある日常の偶然な裏切り
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平凡なら飽きるほどあふれている。



『ある日常の偶然な裏切り』



そんなに驚くことはないじゃないか、とアラウディは思う。

皆一様に、自分の姿を見て、愕然とした表情を浮かべ、視線をそらす。まるで、何事もなかったかのように取り繕う様は、見ていてとても滑稽で、とても不愉快だ。まぁ、面倒なこと、例えば挨拶だとかが省けるので、ある意味、ちょうどよかったのかもしれないが。

久しぶりにボンゴレ本部に顔を出してみたら、こんな扱いだ。部下の教育がなっていない。ジョットにきつく言い聞かせなければ。アラウディは、ジョットを責めるいいネタができた、とほくそ笑んだ。


大体今日だって、急な呼び出しにわざわざ応じたんだ。それなりの敬意を払って迎えるのが筋ではないか。別に来たくて来た訳じゃない、不機嫌にさせるようなら帰るつもりだ。僕だって暇じゃない、時間を有効に使う権利がある。


アラウディは廊下の角を曲がると、目的の部屋の扉をノックするし同時に開け放った。


「入るよ、ジョット」


部屋の主は、執務中だったようで、机で書類に向かっていた手を止め、眼鏡をはずして席を立った。


「アラウディ、よく来てくれた……ん?……」


微妙な空気が流れる。
何。
君もそんな感じなわけ?


部屋を見渡すと、先に来ていた守護者の姿があった。ソファにG、窓際にたたずむスペード。彼らを一瞥すると、やはり同様に妙な反応を示している。くわえ煙草の灰がポロリと落ちるまで、気がつかないG。思いきり眉根を寄せて凝視するスペード。


アラウディは無視して


「はい、これ。ご所望の情報」
「…あ、あぁ、助かった。感謝する」

ジョットは、少し戸惑いがちに、ちらちら顔を見ては視線を外す。

「何?まだ何かあるの?」
ジョットは、意を決したように尋ねた。

「あの、アラウディ。
その頭の上にいる…それ、何?」



頭の上…。



何のことを言っているのか知らないが、失敬な。



そのとき、脇の本棚のガラス扉に自分の姿が映っているのに気がついた。



頭の上に、何か物体が。



これは…鳥の雛?



アラウディはガラス窓を覗き込んだまま、しばらく立ちつくし、しばらくしてから…



「じゃあ帰る」

と言い放ち、部屋を後にした。



残されたメンバーは、一様に。


(コメントなしかよ…)


果たして、あの光景はなんだったのだろうか?憶測が憶測を呼ぶ。




その頃、アラウディは。

頭上でピーピー鳴いている、小さき居住者を気遣い、早々と帰路につく。


あのうるさい連中のおかげで、起こしてしまったか。すまない、あとは車の中で、誰にもじろじろ見られることはないから、安心して眠るといい。


名前は…、東洋風に『ヒバリ』かな、直感で。


僕のところへ来たからには、そろなりの教育はさせてもらうけどね。











ところで、キミ、いつからここにいたの?









end

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