小説

□カラフルワールド第七章
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城の中をスキップで歩くパンジー。ただし無表情なのはいつものことである。
パンジーは魔人としては知恵が少ない方であり、また数少ない知能を食事関係に浪費している。
そのせいであまり感情を覚えていない。激しい感情の起伏が分からないのだ。
その代わり、機嫌の良し悪しは行動に出る。今は機嫌がいいほうだ。
しかし、その機嫌の良さも物陰からある人物が出てくるまでしか続かなかった。






「・・・・・・・・・ずるい」






じめっとした声音に、パンジーはスキップを止めて声がしたほうに目を向ける。
そこには嫉妬の魔人マーガレットが、壁の横からじとーっとパンジーを見ていた。
外見はパンジーと同じくらいの少年で、藍色の髪を簡単な一つまとめで結んでいる。
左目は髪と同じ色だが、右目は灰色。両目のしたにはクマが色濃く残っている。

「ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい・・・」

「やかましいですよ」

鬱陶しいといった感じに、手に持っていたステッキの先をマーガレットに向ける。
マーガレットはそれを物ともせず、パンジーに近づく。
「ずるい。また勝手に人間界に行くんでしょ?」
「それがなにか?」
「魔人は勝手に行っちゃ駄目って言われてるのに・・・ずるいずるい!」
「なら貴方も勝手に行けばいいでしょう?」
若干イライラとした声音でパンジーが言い捨て去ろうとする、が、その後ろをマーガレットがついて行く。
パンジーが止まると、マーガレットも止まる。
「なんですか?」
「勝手にしてるだけ。パンジー、ずるいもん。王様の弟なだけで特別扱い、ずるい」
後ろのほうでずるいずるいと連呼するマーガレットに、パンジーはステッキを握る力を込める。
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