小説

□カラフルワールド第二章
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俺がいた病院は山の近くのではなく、都会の中心にあるやつだった。
見たことないものが一杯あって俺は飽きなかった。色も全然違うものばかりだ。
レンガの色も灰色で走る車が出す煙は黒、でも車体の色は綺麗なのもある。
ここに来て三日、俺の所に訪ねてくるのは鈴蘭だけだった。

今日までは。


「土産の・・・ケーキ、です」
ぎこちない喋りで夜の王、水仙さんがお菓子屋の箱を差し出してきた。
中には旬の果物を使ったフルーツケーキ。宝石みたいに輝いて見えて美味しそう。
甘いもの大好きな俺にとって、これはとても嬉しい。
「嫌い、でないと・・・嬉しい・・・」
まだぎこちない。本当に人見知りなんだ。見かけのデカサと威圧感でギャップがありすぎる。
でも慣れると大型の犬が人に怯えてる感じがする、少し可愛いさが出てくる。
「俺甘いもの大好きだから、嬉しいです」
「そ、そうか・・・良かった。・・・あと敬語使わなくて良いぞ」
感情が穏やかに表れる人だ。綺麗に唇の弧が描かれる様はカッコイイ。
そういえば向日葵さんと幼馴染だっけ。あの人も感情が穏やかに表れる人だったから似てるのかも。
なんだか大人の雰囲気で、向日葵さんと同い年には見えない。本当に24?
+5歳くらいに見えるのは、少し老けて見えるのかな。
「先日はすまなかった・・・初めての相手は少し苦手なんだ・・・」
「人見知りだから?」
「まぁ、な。半分は朝の王のせいでもあるが・・・」
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