+歌小説+

□初恋
1ページ/3ページ

「俺たち、別れよう。」
そう言った彼の目を見て初めて気付いた――――。



貴方のことは何でも知ってると思ってた。
不器用だってことも。
猫舌だってことも。
電話が苦手ってことも。



でも、知らなかったことが1つだけあったの。
知りたくなんて無かった。
それは、

【貴方がもう、私を好きではないということ。】

知ったところで、私には刃物で刺されたような感覚しかない。
それが今だった。

『ねぇ、私、何かいけなかったかな?』

「・・・・・・」

何も反応を示してくれなかった。
それは、私の心を一番、傷つけた。

『何処で・・・私たち・・・すれ・・・』

言葉に詰まってしまった。
我慢していた、滴が頬を伝う。
拭いても拭いても止めどなく流れる。
頑張って私は言葉を口にした。

『ど、何処で、私たち、すれ違っちゃったんだろう?』

「俺にも・・・わからない・・・」

心で何度も繰り返した言葉。
何で気付けなかったんだろう。
私が気付いていればもっと楽だったかもしれない。



今まで、2人で過ごしてきた思い出。
私にとって大切な宝物。
これからもずっと、続くと思ってた宝物。
それが今、音を立てて私の前で崩れた。



『・・・わかった。でも、せめて友達でいて?』

「ああ。」

貴方は友達。
今日から友達になった。
もう二度と“好き”なんて言わないから、
これ以上、遠くに行かないでほしかった。
私は見ているだけでいい。




もう、名前でなんか呼ばないから、隣を歩いたりしないから。
お願い。
【もう逢えない】なんていわないで。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ