心の中で起こること

□超大雑把心理学。
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 『防衛機制』。これはフロイトが提唱した心の機能で、「葛藤などで欲求不満の状況になったり、辛い場面に遭遇したときや、不安な気持ちになり精神の安定が崩れたときに、精神の安定を図るための機能」であると言えます。何か悲しい事件が起こっても、時間が過ぎたら悲しみが薄れていくのは、この防衛機制の機能によるものです。これがうまく機能してないと、心が不安定なまま回復されないことになります。身内の死亡など過去の悲しい事件に、ずっととらわれてしまうのです。

 防衛機制には、いくつか種類があります。それぞれの機能は次です。
@抑圧
 認めたくない出来事をなかったことにする、忘れようとするはたらきです。辛い出来事や場面を思い出させない(意識にのぼらないように抑圧すること)です。辛い出来事は、思い出すだけで辛くなるからです。この機能は防衛機制の基本のようなもので、外から受けた辛い場面を忘れようとするものであったり、自分がした後ろめたい出来事を忘れようとするものでもあります。いわゆる「嫌な出来事は覚えてない」「都合の悪いことは忘れる」というようなものです。
A合理化
 いわゆる「正当化」です。自分のした行為が、仕方の無かったこと、もしくはさも当然のことであるように言い訳をすることです。例として、イソップ物語の『すっぱい葡萄』の話があります。
「1匹のキツネが、葡萄の木の下を通りました。そこにはとてもおいしそうな葡萄がなっていました。キツネはそれを取ろうと飛び上がりましたが、あまりに高くて届きません。キツネは『あんな高い所になっているなんて、すっぱい葡萄に違いない』と言って、葡萄を取らずに帰ってしまいました。」
(物語によっては、その後入手したレモンを「甘いレモン」と言う、という場合もあります。これは合理化でなく、代償であると思います)
 本当は葡萄がほしかったのに、言い訳をして、取れない自分を正当化しているのです。「欲しかったのに、取れなかった」と嘆くのではなくて、「すっぱい葡萄だから欲しくない。取らなくてもいい、取る必要なんか無い」と考えることで、心の安定を図っているのです。
B同一視
 他者と自分を重ねて同一とみなすことです。わかりやすく言うと、有名人と同じように行動したり、カリスマモデルと同じようなメイクやファッションをすることです。そういった憧れの存在に自分を近づけようとするのです。また、子を虐待する親のように振舞うことによって(攻撃される側」から「攻撃する側」に自分を重ねることで)攻撃される辛さから逃れようとする場合もあります。(これは虐待の連鎖にも関係してきます)……その他、親が自分の子に過去の自分を重ねる場合もあります。学歴に劣等感を抱いている親が、子どもを有名大学に行かせようとする等です。
C投影
 自分の認めたくない感情(抑圧した感情)を、他者に抱かせるはたらきです。といっても、実際に抱かせるわけでなくて、そう思い込むはたらきです。たとえば、嫌いな人がいるとします。その人は自分が嫌いな人≠ネのですが、「相手が自分を嫌っている」と思うのです。自分の嫌いという感情が抑圧されている(忘れようとしている)のに、その人と顔を合わせる(思い出してしまう)ために起こるはたらきです。「嫌い」という感情を認めるのが辛いために、「これは自分が思っているんじゃない、相手が思っていることだ」と考えるのです。
D反動形成
 自分の気持ちと全く別の行動をとるはたらきです。好きな子に冷たくしてしまうのも、このはたらきのひとつであると言えます。逆に、嫌いな人に優しくしたりするのも反動形成です。これも、やはり抑圧された自分の本心を認められないがために、逆の行動を取ることで否定しているのです。反動形成は、本心とは逆の行動をしているので、行動には不自然なものがあります。

(まだ続きます)
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