□プリン
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べつにアイス以外のデザートは欲しいとは思わない。

けど…

「ごめんカイトの分ない」

買い物から帰ってきた僕に、一番最初にかけられた言葉。
そんなめーちゃんの手にはマスターがいつも買ってくる、皆大好物のプリンが握られていた。その隣でミクやリンが嬉しそうにプリンを口に運び、レンとルカ姉は無表情で黙々と食べている。

がくぽは行儀よく正座なんてして…

「カイト前にプリンとかいらない〜とか言ってたし、6個しかなかったのよ」
「ひ、ひどいっ!(泣)」

アイス以外はいらないと思っていても、目の前で皆が食べているのに自分だけが食べられないというのは、少なからず嫌な思いをしてしまう。

「リン」
「むっ!あげないよ!!リンのだもんっ」
「…ミク」
「えへ、食べ終わっちゃった☆」
「……ルカ姉」
「拒否」
「め、めーちゃ…」
「今度マスターに買ってきてもらいなさいよ」
「残しておけばよかったでござるな」
「いや…いいよ」

皆してひどい…
もういいよ、今日の晩御飯に唐辛子大量にぶち込んでやるんだから…!!←

「ん」

自分でもおとなげないと思いながらそう考えていると、目の前までプリンの乗ったスプーンが近づけられた。
びっくりして顔をあげると、レンが少し見下ろしがちに僕を見ている。そのまま固まる僕に、「ん!」とスプーンをさらに近づけてきた。

「え…レン…くれるの?」
「い、いらないなら俺が食べるからな…!」
「いる!食べます!」

差し出されたスプーンをパクリと含むと、甘いプリンの味が口の中に広がる。

「美味しい。ありがとう、レン」
「…ふん//」

真っ赤になって再びプリンを食べはじめたレン。
可愛いなぁv

「今度、カイトのアイスもらうからなっ」
「うん、いいよv」
「バナナのやつ」
「うんv」

その時は僕が食べさせてあげるんだ。レンの事だから嫌だとか言いそうだけど…

「レン」
「何、…ん」

プリンを頬張るレンの横に座り、名前を呼ぶ。
僕の声に反応して振り返ったところを見計らい、唇に軽くキスを落とした。

「っ…な、なにすんだよっっ!!!!!!!!///」
「お礼」
「こんなお礼いるかバカッ!///」
「可愛いなぁvV」
「うっさい!!!!!」

皆がいるなんて関係ない。
好きな子にあんな事してもらえるなんて、幸せすぎてしねる。

僕の恋人は世界一可愛い。

この日を境に僕は、プリンを毎日買うようになった。




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