世界

□哥を紡がぬ金糸雀は
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要らない物は捨ててきた。
創造物も
人ですら
不必要ならば・
切り捨ててきた。



お前は、俺にとって必要か?





修兵…





+++哥を紡がぬ金糸雀は+++





愛情も



慰めも



悲しみも



怒りも



喜びも



俺にとっては不必要だ


言葉すら
必要ないと感じる事もある。
否・
必要ないと言うより、元々持ち合わせていないかもしれない。


それは


俺が死んだとしても失うモノが無いからだ。

感情を共にすれば仲間意識ができ、情が湧く。
共有するモノが何も無ければ、周りが死のうと俺が死のうと失うモノは無い。





と、思っていた。





この感情を知るまでは




初めて見たのは、
院生の時。


現世で実習があり、その際虚に目を遣られて技局まで運ばれてきた。





右目は完全にアウト。義眼を入れる事になった。



痛々しい傷を負いながら
霊圧を必死で抑えながら
それでも・そいつは



意志の強い瞳をしていた。



綺麗すぎる瞳だった


そいつはわざと傷痕を残した


弱かった己への戒めだと。




その戒めに興味が湧いた
その瞳の強さに酷く惹かれた
その綺麗な笑みを側に置きたいと、思った…



全てが不必要だった時に、
もう戻れない。
お前が感情をくれたから。
お前が愛しさを教えてくれたから。





要らない物は捨ててきた。
創造物も
人ですら
不必要ならば・切り捨ててきた。



お前は、俺にとって必要か?



俺は、お前にとって必要か?




修兵。




愛しさと戒めを
いつも側に置いてくれるお前に。



「ずっと、側にいろよ…必ず、幸せにする」


感謝と慈しみを込めて。






Fin…

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