世界

□atachment
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百年だろうと
千年だろうと…
この身続く限り。





【atachment】





腕の中で穏やかな寝息をたてる修兵を月影が照らし出す。
明日は二人とも非番だから…と、また無理をさせてしまった。



「修兵…」



そっと・右頬の傷痕に触れると、
情事後の余韻からか、艶やかな声を眠りつつ漏らす。





淡白な顔したコイツはどれほど深い痛手を、心に背負っているだろう……。



共に生きた
仲間を失い



敬愛していた
隊長に裏切られ



俺は



慰める事も
許されない……。





慰めてしまえば・
コイツは戦う事を辞めるだろう。


甘やかせば・
コイツは死ぬことを恐るだろう。



俺の無責任な言葉が
コイツの覚悟を鈍らせるなら…




「皆それぞれが何か背負って生きてる。辛いのはお前だけじゃねぇんだ・良く覚えとけよ」




冷たい言葉で鞭打つ方が良い。



それでも・



お前が生きて戻る限り



俺のこの身が続く限り





お前の帰る場所は
俺の所だけだからな


「愛してる」





百年だろうと
千年だろうと



お前が望むなら、
言い続けよう。


精一杯の愛の言葉を。




fin…

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