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□隠鬼{カクレンボ}
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{ねぇ…僕を見つけて?}
いーち、にーい、さーん…
もういいかい?
「「「もーいいよ」」」
{ま―だだよ}
いーち、にーい、さーん…
鬼はまた数を数える。
もーいいかい?
「「「もーいいよ」」」
{まーだだよ。}
知らない声が聞こえたら
かくれんぼは終われない。
いーち、にーい、さーん…
「ねぇ、なんで探しに来ないの」
「遅いよ!」
「どうかしたの?」
隠れてた子が聞く。
鬼の子は頭を傾げた。
「だって、1人だけ{まーだだよ}って言ったから…」
「誰も言ってないよ?」
「うん。」
「嘘だぁ」
誰も言ってないと言う。
でも、確かに聞こえたのだ。
男の子の声が。
「寒くなってきたし、帰ろ?」
「そだね。」
「それじゃあ、また明日!」
みんなが帰っていくなか、鬼の子だけはずっとその場に佇んでいた。
「もーいいかい?」
小さい声で呟く。
{もーいいよ}
風に乗って聞こえた声。
鬼の子は声の聞こえた方へ走り出した。
隠鬼{カクレンボ}