どりーみん
□三文字のエール
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「大丈夫、大丈夫……」
鞄を持つ手に力を入れ、自分に言い聞かせるように呟く。
いよいよ今日は受験本番。ずっと前から行きたくて行きたくて仕方なかった学校。寝る間も惜しんで勉強してきた。最後の模試の成績も悪くはなかったし、いつも通り全力を尽くせばいいだけ。後は問題とかの運次第。
わかってはいるのだけど……
「緊張、するなぁ……」
ばくばくする心臓はどうしようもない。緊張をほぐすため深呼吸してみるけどまったく効果なし。
「………あ、電源切らなきゃ」
ふと思い出し鞄から携帯を取り出すと受信メールが一件。
「平和島先輩から?」
カチカチと打ってメールを開く。そこには絵文字も顔文字もない、とってもシンプルな三文字。
『頑張れ』
「先輩……」
そのたった一言が嬉しくて、携帯をぎゅっと握り締めた。
緊張はいつの間にかなくなってた。
平和島先輩、絶対に受かって、来年から先輩と同じ高校に通ってみせます。
三文字のエール
(絶対、頑張ります)
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