どりーみん
□君と過ごす夏
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「そうだ、海に行こう!」
「……は?」
突然立ち上がって何を言うかと思えばこれ。正臣はいつだって突然だ。
「海だよ海!シー!偉大なる母なる海!!」
「いや、それはわかるけど……何で海?」
読んでいた本をパタンと閉じて尋ねれば、正臣は手を額にあてて本人曰くかっこいいポーズをした。
「ふ…決まってるだろ?水着のおねーさん方をナンパするためさ!!」
「仮にも彼女によくナンパ宣言できるね。いってらっしゃい、私は帝人でも誘って露四亜寿司行ってるから」
「ちょっ、冗談だって冗談!ジョーク!!」
慌ててそう言った正臣にため息を吐くと、正臣は照れ臭そうに笑いながら言った。
「本当はさ、俺ら付き合ってからちゃんとしたデートしてないじゃん?だからせっかく夏休みだし二人でどこか行きたいなーなんて」
で、暑いから海はどうかなって思ってさ。
そう言う正臣がなんか可愛くて。ちゃんと考えてたことがなんか嬉しくて。
「……で、行かない?海」
「行くに決まってるでしょ!」
「うおっ!」
思わず正臣に抱きつけば正臣は私を受けとめてくれて。
「そしたら水着買わなきゃなー」
「あ、俺が選んであげよっか!?」
「却下。正臣エロいの選びそう」
「ぐ……」
「杏里に付き合ってもらうよ。まあお楽しみってことで」
「楽しみにしてる!」
なんだか幸せだなーなんて思った夏休み初日。
君と過ごす夏
(ていうかいい加減離れない?暑い)
(えーもう少しだけ!な?)
(しょうがないなあ…)
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