no title
□No.3
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その日、その店に行ったのは本当に偶然だった。なんか少し腹がすいて金も今月はそんなに使ってないからじゃあなんか食うか。そんなノリで立ち寄っただけ。
中に入って適当な席を探すと奥に二人がけ用のテーブルがあったのでそこに座ることにした。さすがに一人で四人用の席なんて座れない。
鞄をおろしてテーブルを見ると黒い携帯が置いてあることに気付いた。
「忘れ物か…?」
さすがに名前なんて書いてるわけないよなあと思いつつそれを取る。
――PRRR…
「うおっ!?……っと危ね…」
突然携帯が鳴りだし、びっくりして危うく落としそうになった。
「……出た方がいいよな…?」
もしかしたら持ち主が忘れたことに気付いて電話してきたかもしれないしな…
「…もしもし?」
『あ、もしもし。その携帯の落とし主なんだけどよ』
やっぱり。ていうかこの声……
「もしかして静雄か?」
聞いてみると向こうも気付いたらしい。
『何だ門田か。今どこにいる?』
どうやらこの携帯の持ち主は静雄の知り合いらしい。今からその持ち主と携帯を取りにここに来るということで話はまとまり、俺はハンバーガーでも食べながら待つことにした。
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