魔導新星リリカルなのはFutureS

□過去の作品概要と、第5部終結まで。その2
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魔導戦記 Light of Distraction
〜破滅の光、創生の輝き〜


第3クール



決戦までの間、地上は中央局に、軌道上は機動要塞“ゴーラント”に主戦力が着々と終結しつつある。
だが、その間幾度も阻止しようと神勢力に狙われ、戦い続けた。

その中で起こった因縁の決着。


〜白夜騎士〜

大量の不死者“リビングデット”が中央局に攻め入ろうとしている。
操っているのは、氷帝ブランネージュ。
蹴散らすのは、夜天の王“八神はやて”率いるヴォルケンリッター達。

不死者の半数を倒した所で現れた一人の槍騎士、「ミストラルの兄上」白夜の守護騎士“ミストラル”。

「あの子達を殺しなさい、ミストラル」
「・・・その後は、貴様を殺す」ブランネージュを睨み付け、愛槍ヒュベリオンを担いで歩き出す。

「ふん、やれるもんならやってみなさい」

ヴォルケンリッターの前に立ちはだかるミストラル。
「本気ですか、兄上」
「シグナム、騎士としての責務を果たせ」静かな冷気の魔力を纏ったミストラル、瞬速の斬撃でシグナムを弾き飛ばす。

「兄者!!」ザフィーラの“鋼の軛”を、ミストラルの地を走る氷の刃“青き樹林”が相殺し、
「狙うなら直接相手の首の上、そう教えた筈だぞ、ザフィーラ」跳躍回し蹴りを顔面に食らわした。

「食らえ、兄ちゃん!!」ヴィータの“ラケーテンハンマー”だが、ヒュベリオンの柄に激鉄が絡められ、
「単独での突撃は避けろ、ヴィータ、お前の悪い癖だ」地面に叩き伏せられた。

即その場を跳んで離れたミストラル、シャマルの“旅の鏡”による空間捕縛を免れ、
「魔導士戦の要は察知だ、シャマル」シャマルの目の前に降り、「お、お兄様っ」ボディに当身を食らわせた。

3人が早々に地に膝を付く形になるが、「兄上!!」シグナムがアギトとユニゾンし、レヴァンティンが紅蓮の炎を纏う。
ミストラルも、ヒュベリオンの刃に空気を切り裂くほどの冷気が纏う。
「紫電一閃!!」
「蒼魔一閃!!」

激突した巨大な熱量の温度差によって発生した大量の水蒸気の中から、シグナムが飛び出し、片膝を付いた。
ミストラルは、額から血を流しながらも両脚で立っていた。


「そこまでや」リインとユニゾンしたはやてが、ミストラルの前に降り立った。
「最後の夜天の王、お前では俺は止められん」
「そうかもしれん。せやけど、大事な家族がこれ以上傷つくんは我慢できん」シュベルトクロイツの先を向け、夜天の魔導書を開いたはやて。
その瞳は、真っ直ぐミストラルを見つめている。


すると、ミストラルは槍を下げ、片膝を付き「夜天の王、八神はやて。あなたこそ、我が主に相応しい」頭を下げた。
急な変化に戸惑うはやてだが、「これまでの非礼、義をもって償わせていただく」ミストラルは立ち上がり、ブランネージュに向かって歩き出す。

「ミストラル、裏切るつもり?!あなたのリンカーコアは私が握っているのよ!!」
「知れたこと。それで死のうと悔いはない・・・最後の夜天の王が“真の王”であることが分かっただけで十分だ」これがミストラルの本心。
敵側から、はやてのことを見ていたのだ。自分が仕える王であるのかを。

ブランネージュが逆上し、大型の氷弾を連発する。
それを全て捌きながら、ミストラルは突撃する。

「ヒュベリオン、カートリッジロード」
2発の薬莢が飛び、ヒュベリオンが刀身が2メートル近くに巨大化する“リーズィヒフォルム”となり、「氷竜一閃!!」巨大な凍気の刃となって一文字に振り抜かれ、

ブランネージュを上下に両断した。
「馬鹿な、奴っ・・・私が死ねば・・・あんたも、死ぬの・・・にっ」上半身が地に落ち、光の粒子となって消えてゆく。

同時に、ミストラルの体がブランネージュとのリンクが断たれた事で、消え始めた。はやて達が慌てて駆け寄る。
「ミストラル!!」
「い、いいのですっ、主。兄弟に刃を向けた・・・俺の償い」
「そんなんどうでもええ!これ以上、目の前で“家族”がいなくなるんはイヤや!!」初めて会う筈の自分を家族と言うはやてに、ミストラルは充分満足だった。

その時、≪リインが何とかしてみるです!!≫リインがはやてから離れ、ミストラルとのユニゾンを試みた。

空から、雪が降り始めた。
それは天候にさえ干渉する、氷の鎧を纏った“ミストラルinリイン”の魔力によるものだった。
ミストラルのリンカーコアが、リインを介してはやての魔力によって補完されたのだ。

「力が、充実している。お前は一体っ」
解除したリインがミストラルの手に乗り「2代目祝福の風、リインフォースU(ツヴァイ)ですよ!」自己紹介する。
彼女の容姿が、あの人物と重なり、優しい名を与えてもらったのだと、ミストラルは理解した。

「主、八神はやて」
「ミストラル、もう過去の事はどうでもええ。これからは、もっと近くで家族を守ってな」
「・・・はっ、我が命が尽きるまで」

八神家に、この日新たな家族が加わった。
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