遊戯王5D's 〜滅光再来〜
□第2話「元素の力と氷上の舞」
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遊星:
ジャックの復帰戦を仲間達と観戦するためにシティに向かった俺は、連絡船の中で特殊な力を使う者達と遭遇する。
その後、アキ達と一緒に行ったデュエルスタジアムで思いがけない人物と出会った。
その名は、遊城未香。彼の有名な“遊城十代”の娘だ。
更に俺達は、彼女の兄、“遊城後代”とも出会う。
“破滅の光の波動”、遊城兄妹から共に戦って欲しいと頼まれたその存在を、俺達は
遊☆戯☆王5D’s外伝〜滅光再来〜
OP:LAST TRAIN-新しい朝-〔knotlamp〕
「共に戦って欲しい・・・この宇宙を蝕む“破滅の光の波動”と」
スタジアム近くのオープンテラスの喫茶店、テーブルを囲んでいる遊星達に沈黙が支配する。
自分達の前に居る2人、遊城後代と妹の未香。
“遊城十代”の子供達である彼らが、聞き覚えの無い単語を発する。
「破滅の光の波動だと、何だそれは?!」
静寂を破るジャックの一声。
「破滅の光、それは世界を蝕む事象」
後代は、静かに語りだす。
その雰囲気は、天真爛漫な妹の真逆、冷静沈着で落ち着いている。
「この力に染まれば、強力な力を得る。その反面、全てを破壊しようとする思想に染まる」
淡々と話す後代だが、その内容に目を見開いて驚くアキと双子の龍亜と龍可。
この時、遊星はシティに来る前の連絡船の出来事を思い出す。
連絡船で、白尽くめの男達がセキュリティを魔法カードの効果を実体化させて倒した事を。
その時、男達の体に白い光が発せられていた事を。
「後代、その光は人の体から発して白くないか?」
全員の視線が、遊星に集中する。
対して後代は、
「ここでは何だな、俺達が予約しているホテルの部屋に来ないか?そこで話そう」
表情を緩めて、遊星達を招待しようとする。
事の真相を知る為に、断る理由は彼らには無かった。
第2話「元素の力と氷上の舞」
後代達のホテルの一室
「うわぁ〜すげぇ豪華!!」
龍亜がビックリするのもその筈。
この部屋は、このホテルで上から数えた方が圧倒的に速いランクで、宿泊費もそれなりに値が張る。
続けて入る面々も、内装の豪華さに驚きを隠せない。
「後代さん、よくお金払えますね?」
普段こんな事は聞かない龍可も、口に出てしまう。
その質問には、未香が答えた。
「だってお兄ちゃんって、“博士”だから」
空気が止まり、
え?
という顔を後代と未香以外がしている。
実は、後代は19歳で博士号を習得しているのだ。
デュエルのプロ資格は未香の方が早く取り、彼女の方が公式の成績はずっと上だが、それは研究を優先しているため。
で、博士であることから今も学会に発表し、様々な分野の科学者と交流があるので、彼のスポンサー陣はそれなりに凄いのだ。
だから、この部屋の料金も問題ない。
「ゴホンッ、そんなことはいいとして・・・さっきの遊星の質問に答えよう」
少し長い話になりそうなので、各々椅子やベットに座って話を聞くことに。
ジャックは壁に寄りかかっているが。
「遊星、君が遭遇した者達は、破滅の光から力を与えられた手下にすぎない」
破滅の光、それはこの宇宙を取り巻く“闇”と対を成す存在。
人の住まう世界、デュエルモンスターズの精霊世界、どの世界すなわち“次元”において、宇宙の闇は必要不可欠の存在であり“正しい闇”とも言われている。
「皆は、闇にどんなイメージを持つ?」
一般的な意見なら、不安や恐怖と言った負のイメージが強い。
「なら、コレはどうだ?」
後代は、近くにあったコップをテーブルに置く。
「これで“影”が出来る。龍亜、影を怖いと思うか?」
龍亜はすぐさま首を横に振る。
「そう、影は誰も恐れない。影、すなわち闇が出来るのは、そこに物質が存在しているからだ。俺の影があるのも、俺という物質があるからだ」
宇宙の闇が存在しているのも、その宇宙に物質が存在している証なのだ。
だが、コインに表と裏があるように、闇がある所には必ず光が存在する。
「このコップの影を消すのに一番手っ取り早い方法、それはコップを退けることだ」
テーブルのコップを取る後代。
「しかし、これでは置けばまた影が出来る。そうさせない為には、コップを消去するしかない」
それが破滅の光だ、と後代は言う。
“破滅の光の波動”は、“宇宙の正義の闇”と数多の次元をかけて戦いを繰り広げてきた意思。
破滅の光は、宇宙に存在する物質すら消滅せんとする強力な力となる。
過去、破滅の光が人間を憑代としてこの次元に現われ、人々を操った例がある。
それを阻止したのが、宇宙の闇の力を扱う者。
「俺と未香の父、遊城十代だ」
語られていない歴史の真実を知り、遊星達は唖然となる。
遊城十代は幼少期、海馬コーポレーションのプロジェクトに応募し、DMのデザインを作った。
それが採用され、更なる力を得る為にカプセルに納められて宇宙に放たれた。