遊戯王5D's 〜滅光再来〜

□第1話「戦士(HERO)の血筋」
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シグナーとダークシグナーによる五千年越しの闘争


遊星達シグナー側の勝利で終結したが、その代償は大きく、多大な犠牲を払った上で成り立ったものだった


生き残った者達に出来ることは、犠牲となった者達のことを忘れずに未来を生きること


そんな激闘から数ヶ月が経とうとしていた



遊☆戯☆王5D’s外伝〜滅光再来〜

OP:LAST TRAIN−新しい朝−〔knotlamp〕



戦いの舞台となったネオ童実野シティのサテライト


ダークシグナーが起した黒い霧で、その人口は半分以下にまで落ち込んでしまった。
その影響は、間接的にでもサテライトに依存していたシティでも起こっており、工場区画へシティの技術者が派遣されたりしている。
また、同時進行でサテライトの象徴でもあるダイダロスブリッジの完成作業もシティの支援で行われている。


そして、

シグナーの1人、不動遊星は嘗てマーサハウスと呼ばれた屋敷で生き残った子供達と友人のクロウと一緒に暮らしている。



第1話「戦士(HERO)の血筋」


遊星の部屋

机についてパソコンで作業をしている遊星。
彼は今、持ち前の器用さを買われて復興用設備の設計やプログラム開発、シティからの機材発注の仲介を行っている。

遊星は、画面に映されている依頼の機械設計図を、流れるようなキー操作で作り上げてゆく。


≪まだ考えているのか?≫

作業を続ける遊星に、机の傍らに置かれているデッキから相棒のスターダストドラゴンが語りかける。

「何のことだ」
≪お前は未だに自分を責めているだろう≫

遊星の指が止まる。

「・・・俺が、救えなかった事実は変わらないからな」

目の前で犠牲となった者、母親同然だったマーサ、弟の様だったラリー、サテライトの仲間達の姿が頭から離れない。

そして、

『満足・・・出来ねぇぜ』

ダークシグナーとなって蘇り、自らの手で止めを刺した鬼柳狂介の最後の言葉。
これらが、遊星を悩ませ続けている。


≪最近のお前は、自己犠牲的に仕事をこなしている≫

スターダストが、小さな精霊体となって遊星の肩に乗る。

≪たまには気分転換でもしたらどうだ?≫
「まだ依頼はあるんだ。それに、どうやって気分転換しろと?」

ある意味正論を言う遊星に、心なしか溜息を付くスターダスト。

その時、パソコンに通信が入る。

『よう、遊星』
「雜賀」

相手は、シティで何でも屋をしている雜賀だ。
以前セキュリティに潜入した時以来度々世話になっており、今では仕事の依頼を送受する仲だ。

『中々景気が良いそうだな。お前の働きっぷりはこっちまで流れてるぜ』
「お前が余計に依頼を送らなければ、案外のんびりできるんだがな」
『それと同じぐらい、現キングがデュエルに出ないって話あがってるんだが?』
「嫌味のつもりか?それだけなら切るぞ」
『怒るな、怒るな。実はな、気分転換になると思ってある物を送ったんだ』

気分転換とは、何てタイムリーなんだと遊星は心の中で溜息を付き、同時に肩に乗っているこれを分かっていたかの様な相棒を睨みたい気分になった。

程なく廊下から走る音が徐々に大きくなって、

「遊星!スゲェもんが届いたぜ!!」

ドアを勢い良く開けてクロウが入ってきた。

「雜賀からの届け物だろ?」
「何で分かったんだって、なんだよ今話してたのか」
『おう、クロウ、早速見せてやれ』

せっせと封筒からクロウが取り出したもの。

「見ろよ、ジャックの復帰戦のチケットだ!!」

遊星に見せ付けるクロウの手には、ハッキリとジャック=アトラス復帰戦と書かれてある。
それが4枚。

『それはお前と十六夜アキ、そしてあの双子の分だ』
「なにぃ!俺にはねぇのかよ!」

自分の分が無くて文句を言うクロウ。

『残念だが、4人分が限界だった。でだ遊星、お前が他の連中に届けてやってくれ』
「な、何で俺が。お前が届ければ良かったんじゃないか?」
『それだったら気分転換の意味が無いだろ。お前のことだから、自分の分をクロウ辺りに譲って行かない可能性があるだろ?』

遊星は図星を付かれてしまった。

『という訳だ。お前が届けるのを待ってる連中の為にシティに行けよ』
「強制的か」
「いいじゃねぇか、遊星。せっかくあの子に会えるんだから」
「・・・あの子?」
「アキだよ、十六夜アキ!」
「何で今アキの名前が出るんだ?」

クロウと雜賀はキョトンとなって、画面越しに目を合わせると落胆して首を垂らした。
心なしかスターダストも同じ仕草をしているようだ。

シグナーの1人十六夜アキは、フォーチュンカップ及び彼女の両親との和解でのデュエルが決定打となって想いを寄せる様に成った。
しかし、肝心の遊星が彼女の気持ちに気付いていないのだ。
嫌い等ではなくただ単に鈍感なだけ。
最も、遊星自身が顔に出さないので、アキをどう思っているかは分からないが。

『・・・まぁいい、兎に角渡しに行け』
「ほら、遊星」
「・・・分かった」

クロウからチケットを受け取った遊星は、上着の内ポケットに入れて立ち上がり、ベルト付きのデッキホルダーを腰に着けて部屋から出て行く。
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