カードファイト!!ヴァンガード〜創世始動〜

□プロローグ3話「光と影」
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これは、史実とは別の話。

その始まりの物語。


カードファイト!!ヴァンガード
〜創世始動〜


プロローグ
第3話「光と影」



ヴァンガードファイト夏の全国大会、決勝トーナメント。

対戦発表は既に行われ、第1試合のチームがそれぞれ控え室に集結している。

第1試合は、何とチームQ4(キューフォー)対チームFFAL4(フーファイターエーエルフォー)、
予選最終戦と同じ組み合わせとなった。


Q4の控え室では出場順が話し合われていた。

「では、先鋒をアイチ君、中堅をカムイ君、大将を櫂君、でいいですね?」

自称監督のシンが順番を発表し、3人は頷く。

特にカムイは、先週の予選大会で迷惑をかけたので、余計に気合が入っている。


デッキの中身を確認しているアイチにミサキが声をかける。

「アイチ、大丈夫?」
「え?あ、はい。大丈夫ですよ」

周りがいる為に敬語を使うが、アイチはいたって落ち着いている。
先鋒で緊張していると思ったミサキだったが、余計な心配だった様だ。

『この前、クレイに行ったって言ってたし。良いことあったんだ』

先日聞いた惑星クレイでの話、普通の人なら作り話と思うが、
PSYクオリアを持つ者及び知る者には信じられる事象である。

ただし、

「アイチ。クレイに行けたからと言って、迂闊にPSYクオリアを使うなよ」
「櫂君。うん、分かってるよ」

櫂は警戒心を緩める事はない。

『向こうで何されたんだか・・・』

クレイで、ドラゴンエンパイアでどんな扱いをされたのか、少しだけ気になるミサキだった。



何はともあれ、先鋒戦が始まる。
アイチはデッキをケースに直してスタジアムに出る。

対戦相手は、

『チームAL4からは、雀ヶ森レン選手!!』

まさかのAL4のリーダー、雀ヶ森レンだった。
アナウンスと同時に会場がどよめき、

「そ、そんなっ」

アイチも予想外で動揺していた。

それは控え室も同様で、

「ちょ、何でアイツが!」

ミサキは思わず声を張り、櫂へ視線を送る。

その櫂も、思いもよらない相手の動きに顔をしかめている。


スタジアム、定位置に立つアイチとレン。

「ふふ、予想外っと言った顔ですね」
「・・・はい。正直、大将戦に出ると思ってました」

リーダーなのだから、それはごく自然な考えと言える。
しかし、

「君に興味があるんですよ。短期間で能力を身に着けた君に、ね」

レンはアイチに興味を持ち、その実力を自分で確かめるべく自ら初戦に名乗りを上げたのだった。

「どうか、僕を失望させないでくださいね」

不敵な笑みで見詰めるレンに、アイチは妙な不気味さを感じていた。

ファイトテーブルが起動、両者はデッキをシャッフルし定位置にセット、
ファーストヴァンガードのユニットを伏せてスタンバイ。


決勝トーナメント、第1試合が開始される。


「「スタンドアップ!」」
「ザ」
「「ヴァンガード!!」」

モーションフィギュアシステムが起動、
灰色の光が2人を包み、イメージ及び映像の中のファイトの舞台が夜の荒野へとなった。


「スターダスト・トランペッター!」

アイチのファーストヴァンガードは、
赤い髪を2つの団子に纏めた小さな天使“スターダスト・トランペッター”。

「フルバウ」

対するレンは、黒い装甲を持つハイドッグ“フルバウ”、にそれぞれライドする。


『フルバウ?一体、どんなクランなんだ?』

初めて見るユニットに困惑するアイチ。
だが、ファイトはもう始まっている。

先攻はアイチ、

「ドロー、小さな賢者マロンにライド!」

眼鏡をかけた小柄の賢者“マロン”にライドする。
パワーはグレード1で最高の8000。

イメージ内のマロンがアイチの姿に変わる。


「ターン終了です」

先攻は攻撃できない、よってこれでアイチのターンは終了。


「僕のターン、ドロー。ライド、ブラスター・ジャベリン」

レンは、漆黒の鎧、即ち黒いブラスターを纏った槍騎士“ブラスター・ジャベリン”にライドする。


アイチは動揺していた。
ブラスター・ジャベリン、その姿はまるで、

『黒い・・・ロイヤルパラディンッ』

自分の使う神聖騎士団を黒く染めた様な、恐怖さえ感じ取れた。


「ふふっ、驚きましたか?彼らは“シャドウパラディン”と呼ばれるクラン」
「シャドウ、パラディン?」
「そう、神聖なロイヤルパラディンからの離反者達。渦巻いていた負の感情の具現体」

アイチは目を見開く、先日訪れたあの場所はとても暖かく誰に対しても好意的だった。
そんな彼らの中から、離反者が現れていたとは。


「フルバウのスキル発動。フルバウにブラスター・ジャベリンがライドした時、あるユニットを1枚デッキから手札に加える」

レンがデッキから選んだそのユニットを見て、

「・・・えっ」

アイチは更に驚愕した。

そのユニットは、アイチが最も大切にし、分身と言っている存在、
ブラスター・ブレードに酷似していたのだ。

違いと言えば、身に纏うブラスターが黒く染まっている事と、
携えている剣が異なっている点。

「彼はブラスター・ダーク、君のブラスター・ブレードと対を成す存在」
「対、ブラスター・ブレードのっ」
「とは言え、彼の登場は次です。グルルバウをコール」

ヴァンガードサークルの左隣のリアサークルに、鋭い牙をむき出しにしたハイドッグ“グルルバウ”が登場する。

「バトル」

レンがバトルフェイズに移行する、がこの時彼の両目が淡く光る。
PSYクオリアを発動したのだ。

同時に、会場にいる能力者達が感じ取り、一気に緊張感が増す。


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