オリジナル『仮面ライダーダルク』

□第15話「継承・壱」
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番外編の様なモノです、2回に分けてお送りします。OP・EDはありません。


<仮面ライダーダルク>


第15話「継承・壱」

西暦2045年、風都。風と風車が似合うこの街で、今日も事件が巻き起こる。

風都信用銀行の本店、入口を歩道からジッと見詰める30代後半から40代前半のサラリーマン風の男性がいる。
男性の目つきは、出勤や預金の引き落しを使用とする者の目ではない。
明らかな敵意が宿っている。

一歩を踏み出そうとした時、

「ちょっとそこのサラリーマン。待ってもらえるかい?」

引き止められその足を戻した。
声をかけたのは20代の若い男、スーツと黒いソフト帽を着こなしているが、どこかキザっぽくも見える。
彼は緑と黒のバイクに寄り掛かって男性を見詰める。

「ここ数日、ここの支店で放火があった。が、どれもそんなレベルじゃない、明らかな破壊行為」

ソフト帽の男は男性に向かって淡々と喋る。

「犯行時間は深夜、ご丁寧に監視カメラまで焼き溶かされてるときたもんだ」
「君、何が言いたいのかね?」

男性が痺れを切らし尋ねると、男はバイクから離れた。

「・・・あんた、2週間前に本店から異動処分食らってるよな?」

この言葉に、男性は明らかな反応を見せる。

「最初の犯行があったのが、その2日後。2件目がっ」
「黙れっ・・・俺は悪くないっ」

男性はソフト帽の男を睨み付け、本性を曝け出す。

「ただの書類の記載ミス、それだけで人事異動を食らい、挙句の果て本店部長から支店の平社員に降格、こんな屈辱があるか!」

彼は長年本店で勤めていたプライドがあった、それを引き裂かれた事を恨んでいた。

「教えてやるのさ、俺をコケにした連中に俺の恨みを、俺の屈辱の炎をな!」

男性は上着の内ポケットから、10p程のメモリ端末、化石の様な有機的な形のモノを取り出す。
そのメモリのスイッチを入れると、『マグマ!』と言う電子音声が流れ、男性はそれを手に施されたコネクターに差し込んだ。

ガイアメモリ、地球の記憶を内包した生態感応端末。使用者の体内に挿入される事で、封じられた力が解放、

≪うおおぉぉぉぉ!!!≫

人間を、特殊能力を宿した怪人ドーパントへ変貌させる。
このマグマドーパントは、その名の通り全身が燃え盛る岩石と炎を纏った様な姿となっている。

ドーパントの出現に周囲の人々が逃げ惑い、交通までストップする事態となる。しかし、ソフト帽の男は動じる事は無い。

≪貴様、何者だ?≫

マグマに素性を問われると、男はソフト帽を1度とって内側に息を吹きかけて被りなおす。

「俺は探偵だ。いや、俺達が、な」

俺達、そう言った彼は懐から取り出した機械を腰に宛がう、それはハーネスを展開し巻きつきベルトとなる。

「行くぜ、ルミナ」


ルミナ、と男から呼ばれた者は地下室にいた。
金属の足場で組まれたそこは、側面にホワイトボードや機械の作業台があり、中央には巨大な機械が存在した。
ルミナは椅子に座って頭に特殊なヘッドギアを付けていた。

「シンちゃ〜ん、ボクの言った通りでしょ。あの火力は絶対マグマだって」
『分かったから、さっさと準備しやがれ!』
「はいは〜い!」

頭に届くシンちゃん、もとい心太郎の声。機嫌など気にせずに、ルミナはヘッドギアを外す。朱色のセミロングの髪を靡かせて立ち上がる。

「では師匠!行ってきます!」

可愛らしく敬礼するルミナ。その先にいるのは、別の椅子に座り白紙の本を眺めている中年の男性。

「ああ、行っておいで」

ルミナの師匠、フィリップは彼女を笑顔で送り出す。尤も、彼女は中央に降りるだけなのだが、その腰には心太郎のものと同じベルトが巻かれている。

離れた場所で2人は其々ドーパントが使用した物とは違うタイプのガイアメモリを取り出し起動させる。
ルミナは右手に、

『サイクロン』

緑色のCの刻印がされたサイクロンメモリ、
心太郎は左手に、

『ジョーカー!』

黒いJの刻印がされたジョーカーメモリを持つ。

「「変身!」」

異なる場所で叫んだ2人、ルミナが先にベルト・ダブルドライバーのバックルの左側スロットに装填する。と即座にサイクロンメモリは転送される。

サイクロンが転送された先は心太郎のバックル、同じ場所に現れセットする。
続けて右スロットにジョーカーメモリを差し込み、更にバックルを展開する。

『サイクロン、ジョーカー!』

2つのガイアメモリの力が発動し、心太郎は顔に独特な模様を浮かばせ全身にエネルギーと風を起こしながらその姿を変える。
左半身が緑、右半身が黒、赤い複眼、触角やボディなどのラインに用いられたWの形、首から靡く緑色のマフラー。

この姿を見て、マグマドーパントは動揺する。

≪貴様!仮面ライダーか!≫

そう、心太郎とルミナは2人で1人の探偵であり、仮面ライダー。

「仮面ライダーダブル。さあ、『お前の罪を数えろ!』」

心太郎と重なるルミナの声、彼女の魂はガイアメモリに宿り、心太郎の肉体に憑依しているのだ。
これがダブルが2人で1人である所以。

戦闘開始、ダブル・サイクロンジョーカーはスピードと肉弾戦に特化した形態。
瞬時に間合いを詰め、風を纏った鋭い右の回し蹴りを連続で食らわせ、

「おらぁ!」

威力のある跳び回し蹴りを顔面に叩き込んだ。

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