ヴァンガード短編
□新年の2人
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〜新年の2人〜
新年の三箇日は世間一般、殆どの家庭が休日、大半の企業や銀行まで休日になり、販売店の類は特別セールで大忙しの時期。
そんな時期に、先導家では、この3日間家族以外の人達が泊まりに来ている。
新田シンとその姪の戸倉ミサキ、2人は最早家族ぐるみの付き合いにまでなった先導家に招待されていた。
昨年は両家にとっても良い意味で変化した年であり、その記念にと三が日を過ごす事になったのだ。
戸倉家も経営者なのだが、今年は三が日は特別休業としている。
今日は3日、先導家に泊まる最後の日。
なのだが、今家には2人しかいない。
エミは親友のマイと遊びに出掛け、シズカは食料品の買出しに。
シンは飼い猫の店長代理と共に明日の営業開始の準備に出ている。
残ったのは、アイチとミサキなのだが、
「暇だねぇ〜アイチ〜」
「だねぇ〜」
リビングの長方形のコタツに、仲良く肩を寄せ合って座っていた。
2人ともシズカやシンを手伝うと言ったのだが、折角なら2人だけの時間をと気を使ってくれたのだ。
と言うわけで、それに甘えて目下ノンビリ中、
「アイチ、あ〜ん」
「あ〜ん」
コタツでミカンを摘んで食べさせ合ったりしている。
「こんなにノンビリした日は久々だよ。コタツは暖かいし、アイチもいてくれるし」
「僕もミサキがいてくれて嬉しいよ」
「うぅ〜ん!アイチ〜♪」
嬉しさの余りにギュ〜とアイチを抱き締めるミサキ。
正に夢見心地な彼女の胸に顔を埋められているアイチは、最早慣れっこで動揺することは無く抱き返している。
「アイチ、クリスマスのプレゼントどうだった?」
「うっ、そ、その・・・嬉しかった、よ」
赤面するアイチは、約1週間前の聖夜を思い出す。
ミサキからのプレゼントは二種類あった。
1つは仲間達と共に開いたささやかなパーティーで交換会で出したもの。
もう1つは、ある意味で強烈だった。
「また着て欲しい?」
「し、暫くはいいよ////、刺激が強すぎるから」
ミサキはアイチだけのプレゼントとして、俗に言うミニスカサンタにコスプレした自分を差し出したのだ。
つまり、肩や胸元が丸見えでミニスカートとハイソックスから作られる、いわゆる絶対領域を持つミサキを、アイチは美味しく頂いたのだ。
「ふ〜ん、私から見れば、狼になったアイチの方が刺激的だったけど」
「も、もう!ミサキ!」
「ふふっ、冗談」
拗ねそうになるアイチの頭を撫でながら、ミサキは共に横になる。
「私ね、凄く今幸せよ。大好きな人がこんなに近くにいてくれる。こんなに心が暖かいことは無いよ」
「僕も幸せだよ。この心の暖かさはずっと続くよ、きっと」
「うん」
ミサキは体の位置をずらして、アイチと見詰め合いキスをする。
ついばむ様な口付けを繰り返し、次第に触れ合う時間が長くなる。
ミサキの手がアイチの後頭部を押さえる、重なる唇の間から舌先が触れ、チロチロと舐めあう。
「はぁ・・・アイチぃ、なんか・・・スイッチ、入っちゃったっ」
「ミサキ、でもここだとっ」
「だから・・・アイチの部屋、いこ」
目を潤ませ、表情を恍惚とさせた彼女の妖艶さに、アイチは決して勝てない。
家族が何時帰ってくるか分からないが、半ばどうでも良かった。
ミサキを連れて、アイチは自室へ向かう為に、階段を上がっていった。
ベットに入る、布団は冬の冷たさで冷えていたが、そんな事はお構い無しに2人は横向きに抱き合いキスをする。
「ぅん・・・ぁっ」
「っ・・・ふぅっ」
先程よりも激しく舌を絡め合い、吸ったりして刺激し合う。互いの高まっていく興奮により、体温は一気に上がっていく。
普段真面目なアイチは強い理性のタグで抑えている本能、愛する女を貪る男の性(さが)。
それが崩れ始め、ミサキの豊かな胸を揉み始める。
「っ・・・あん、えっち」
「ミサキが悪いんでしょ、僕を誘ったりするからっ」
「うん、ミサキが悪いよ・・・だから、お仕置きして」
ね、と耳元で決定打を囁かれ、アイチの理性は飛んだ。
アイチはそのままあの夜と同じ狼となり、ミサキをお仕置きもとい、美味しく頂いたのだった。
その後、帰ってきたシズカ曰く、2人はコタツにいたそうだ。
実際は、行為に及んだ後一緒に風呂に入り、そこでも散々イチャ付いた後、なのだが。
で、先導家に泊まる最後の夜は、
「み、ミサキッ」
「昼間はアイチに食べられたから、今度は私が食べる番ね♪」
ミサキが終始イニシアティブを掴み続けていたそうな。