ヴァンガード短編

□南国の情熱
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〜南国の情熱〜


ソウルステージでニューAL4に完敗したチームQ4達の下へ届いた常夏の島への招待状。
差出人は立凪タクト、アジアサーキットの主催者であり、アイチが真実を知るために追い求める人物である。

何故招待したかは定かではないが、気分転換も兼ねて、夏休みに行った合宿を今一度する事になった。
タクトの計らいで、親族及び関係者も同行可能で、アイチの妹のエミやその友達のマイ、カムイの取り巻きのエイジとレイジ、森川と井崎、三和も付いてきている。
早い話がカードキャピタル丸ごとでやってきたのだ。

島はコテージが複数用意されており、2日3日過ごすには何の不自由もない。いや1ヶ月いても満足できるだろう。
あえて言うなら、この島に招待されたのがQ4だけではなく、AL4もと言ったところだろうか。

兎に角、アイチ達Q4の3人は次のサーキットに向けて特訓がテーマ。
にもかかわらず、周りはバカンス気分。
特に森川は夏休みでの鬱憤を晴らすかのごとく、アイチ達を巻き込もうとしている。

始まる森川の謎の特訓を目にして、

「付き合ってられない」

呆れてものが言えないミサキは早々に去ろうと立ち上がり、

「行くよ、アイチ」
「え、あ、はい」

恋人=アイチが巻き添えを食う前に連れて行く。

そのまま共用コテージに向おうとしたが、ミサキはアイチの手を取って進路を変えた。
裏手の誰もいないビーチに着くと足を止める。

「ミサキ?」
「アイチ、この水着似合ってる?」

振り向きながらミサキは腕を組んで、豊かな胸を見せつけながら問う。
彼女の水着は、白いビキニにデニムのミニスカート、白いカウボーイハットを被っている。

アイチはもう知り尽くしているが、ミサキはスタイルが抜群にいい。
夏休みの時は黒いビキニで色っぽく、今回も真逆の色であるが非常に魅力的である。

当然アイチもその魅力及び色気にあてられている訳だが、

「似合、ってるよ・・・でもっ」
「でも?」
「前も言ったよね。ミサキの肌が他の人に見られるのは、好きじゃないって」

俯いて、不満(?)を口にした。
一瞬、キョトンとなったミサキだったが、次第に笑顔になり、

「もう、アイチったらヤキモチ焼きなんだから♪」

愛おしい恋人の頭を胸にギュ〜と抱きこんだ。先程の森川への態度はどこへ行ったのか。
アイチは顔面を包む温もりと柔らかい感触で、一気に血流が加速し体温が急上昇する。
少し目を動かすだけで、その柔らかい物体の正体が分かる。

「み、ミサキ!ダメだよ!」
「どうして?何時もしてるじゃない」

ミサキのアイチへの抱き癖は何時もの事で、今更恥ずかしがる事はない。
が、今は普段とは状況が大きく違う。服越しとほぼ素肌、では雲泥の差だ。
おまけに日の光溢れるの屋外と言うのも普段には無いシチュエーション。

「だ、だって・・・その////」

これまで以上に顔を赤くするアイチは我が身に起こっている現象を口にしたくなかった。
男、いや雄の本性が表に出ようとしている事を。

だが、ミサキはそれを誰よりも察知できる。

「・・・エッチ」
「あぅ////」

耳元で一言、短く的確な一言を呟かれ、余計に恥ずかしくなったアイチは顔を見られまいと、よりミサキに密着してしまい、謎のスパイラルに突入してしまった。
しかし、このループコンボからアイチを救い出せるのも、ミサキだった。

「いいよ」
「え?」
「私、アイチとエッチなこと、したいな////」

頬を赤くしながら微笑むミサキと、顔を上げたアイチと視線が交わる。

見詰め合う2人を邪魔する者は誰もいない、同行者達の声も聞こえない。

聞こえるのは波の音、見詰めるのは南国の太陽。


どちらかとも無く口付けをかわす2人のこれからを、止められる者は誰もいないのだ。



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