ヴァンガード短編

□スイートラブ
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「み、ミサキ?」

急に震えだしたミサキに不安を覚えたアイチだったが、

「大丈夫・・・でもね」

次の瞬間、目つきが自分しか知らないモノになって、別の意味で焦った。

そう、この目は夜の目。
肉食女子の本能に目覚めた時のものだ。

認識した瞬間、アイチは抱き上げられ、ベットに仰向けに寝かされた。
空かさず馬乗りになるミサキ。

「私は、他の子にも、コーリンさんにも出来ない、私だけが出来る方法でアイチに愛を伝える事が出来る」

イベントの力が無いと勇気が出せないヒヨッコ共とは違うんだ、と胸を張ったミサキ。

すると、最後の1個のトリュフを取り、口に含み指のココアパウダーを舐め取った。

何をする気なのかと考えるアイチだが、両手をつかまれ頭の上に固定された。


「ミサッ・・・っ!!」

アイチの口が塞がれた、ミサキの口で。
それだけなら普段しているキスと大して変わらないが、ここからが初体験だった。

割って入ってきたミサキの舌は、アイチの歯列と歯茎をなで上げ、口を開けさせる。
その隙に、ミサキの口の中で溶けたチョコが流し込まれたのだ。

「んぅぅっ!!」

驚きのあまり起きそうになったアイチだが、ミサキがそれを許さない。
舌同士を絡ませ、撫で上げ、徐々に抵抗する力をなくさせる。

そして、喉が詰まらない様に少しずつチョコの流入を開始した。

少しずつ少しずつ流されるチョコは温かく、

ミサキの舌は的確にアイチの口内を犯していく。



数分後にようやく全てのチョコを口移しし終えた。

「はぁ・・・はぁ・・・どう?今年最後の私のバレンタインチョコの味は?」
「・・・美味し、かった」

それ以外答えられない、チョコの味にミサキの味が混ざった、最高のスイーツ。


「ふふ、今度他の子のチョコの味、特にコーリンさんとの比較感想頂戴ね」

固定した手を離してアイチの頬にキスをするミサキ。

『う〜ん・・・ちょっと過激だったかな』

我ながら少しやり過ぎた、と呆れる。
出来る年上女性を演じても、やはりどこかで嫉妬し、愛する男を自分の物にしたいと言う欲に駆られてしまう。

今後コーリンと会う事があれば、確実に対抗意識を燃やす事だろう。


と、これからの事を考える前に“今”をどうにかする方がよさそうだ。

「アイチィ・・・スイッチ、入っちゃった」
「え?」

ミサキは、とろんとした目でアイチの頬をなで、そのまま首、胸へと手を沿わせる。
その手が制服の上着のホックを外しだすまで1秒もかからなかった。

「ええ?い、今から?」
「だって、あんなキスしたら・・・欲しくなっちゃうよ」

アイチの制服の前を全開にし、下のシャツのボタンも次々に外してゆく。
先程のキスで完全に骨抜きにされたアイチは、なされるがままだった。

露になった肌にミサキは唇を落とす。
鎖骨や首元、胸に至るまでキスをして、わざとリップ音を立たせる。
その最中に、アイチの手を取り、自分の胸を触らせる。

「ね?まだシンさん帰ってこないし・・・私のとびっきりのバレンタインプレゼント、あげるから」

ここまで言われて、アイチとは言え男だ、体の中から込み上げ来る熱い欲望は抑えられない。
それが愛しい恋人で、既にその味を知っている者同士なら、遠慮は要らない。

「えっと・・・ミサキのプレゼント、欲しいっ」
「うん、召し上がれ」

妖艶な笑顔と共に、ミサキはプレゼント贈呈の意を込めたキスをした。



プレゼント、と言う仮名の行為を終えた後、

「ホワイトデー、今度はアイチが私に頂戴ね。アイチのプレゼント」
「う、うん。頑張るよ」

お互いの肌の感触と共に余韻に浸りながら、来月の約束をするのだった。



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