ヴァンガード短編
□「誰よりも、あなたの為に」
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ファイトの準備が整い、奥のファイターズラウンジへ案内される。
部屋の中央に大型のプレイ台があり、上下の立体映像発生器でファイト時のユニットの動きや、ステージが見れる様になっている。
アイチとカムイは、レッカと共に周囲の段差に腰掛け、
ミサキとスイコは柱に寄りかかっている。
『この女がアイチを招いた・・・何を考えてるの?』
気付かれない様に一瞬睨んだミサキ。
一方プレイ台、
「私のデッキもあなたと全く同じ」
「つまり互いの実力の差が、ハッキリ分かると言うことですね」
条件を確認し、デッキを所定の位置にセットする。
すると、レンがアイチと視線を交わし、
「・・・ヴァンガードファイトは良いですよね。相手に怪我をさせる事もなく、粋がる必要もなく、ただただ勝ち続ける事が出来るのです」
何の前触れもなく言葉にした。
「・・・始めるわよ」
コーリンが開始を告げ、立体映像装置が起動、ステージは海洋国家“メガラニカ”の荒地の近くの水辺。
「「スタンドアップ、ザ・ヴァンガード!」」
両者同じファーストヴァンガード“スフィア・メイガス”で開始。
コーリンの先攻で始まり、互いのアドバンテージを潰しあうファイトが続く。
2人共高い実力だが、レンが雰囲気を変えた。
「ブレザープレジャーズをコール」
呼び出したのは、先程からコーリンも多用しているグレード1のユニット“ブレザープレジャーズ”。
ブレザーを着用したアイドル3人は、登場時に他の同クラン、この場合“バミューダ△(トライアングル)”にパワーを+2000するスキルを持つ。
アイチは先程レンが言った切り札が彼女達である事に気付いたが、何故切り札になるのかは分かっていない。
「プレジャーズのスキルで、フローレスにパワー+2000」
前方のヴァンガード、グレード3“トップアイドル フローレス”のパワーが12000になる。
「リアガードのフローレスで、ヴァンガードを攻撃!」
もう1体のフローレスが、人魚故の水中速度と水の魔法で、コーリンのヴァンガードのフローレスを攻撃する。
「プレジャーズがブーストしたフローレスで、ヴァンガードを攻撃」
パワーが18000となったフローレスが、空中に跳びあがる。
「ツインドライブ、ファーストチェック」
1枚目はグレード2“レディボム”、
「セカンドチェック」
2枚目はドロートリガー“ドリームイーター”。
パワー+5000が、リアガードのレディボムに与えられ、レンは1枚ドローする。
フローレスの空中からの水弾の雨は、相手のフローレスに直撃。
「ダメージトリガーチェック、クリティカルトリガー」
コーリンが引いたのは、クリティカルトリガー“オラクルガーディアン ニケ”。
ヴァンガードのパワーが15000となる。
一方レンは、
「フローレスのソウルブラスト、フローレスの攻撃がヒットした時、自分の場のバミューダ△のカードを手札に戻す事が出来る」
ヴァンガードのソウル、下のカード2枚がドロップゾーンに置かれる。
レンが手札に戻したのは、ヴァンガードの後衛のプレジャーズ。
先程から何度も手札を増やし続けているレン、またしても手札が増える事となった。
最後のレンの攻撃、レディボムと“バトルシスター ココア”の攻撃は、コーリンがスフィアメイガスを防御に使用した為、通らなかった。
お互いにダメージは4枚、後2枚だがお互いの手札の枚数が圧倒的に差が出ていた。
コーリンがリアガードを埋め、総攻撃力を上げにかかる。
それをレンは、
「いいですね、その目。しかし残念ながら、僕を倒すことは出来ない」
コーリンでは自分を倒せないと宣言した。
「証明してもらうわ」
強気に出たコーリン、リアガードの“トップアイドル アクア”から攻撃宣言を行う。
それが防御され、ヴァンガードのフローレス、リアガードのフローレスへと続くが、そのことごとくが防がれた。
手札の枚数、すなわち防御要員の差が出た様だ。
「ね、言った通りでしょ。僕には見えるんです、全てが」
全てが見える、その言葉に驚愕するアイチ、ミサキ、カムイ。
ウルトラレアは、どこか納得していた。
レンのターン、
「・・・来たね」
引いたカード、そしてシールドに使われなかった手札はプレジャーズ。
ここで、アイチに再びあの感覚が訪れる。
再度飛ばされた場所は、先程と同じだが、水がより鮮明に見えており、両足が浸かっている感覚すらある。
そして、再び背後から飛び出した3つの人影、
それらはプレジャーズだった。
水しぶきを浴び、アイチは元の感覚に戻った。
『また、何が起こってるんだ?!』
混乱しているアイチだったが、
「ふふ・・・ファイナルターン」
レンがファイナルターン、櫂も使う最終ターン宣言をした。