ヴァンガード短編
□「誰よりも、あなたの為に」
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「プレジャーズをコール」
プレジャーズを2体共後衛にコールし、スキルを使ってリアガードのフローレスのパワーを合計4000上昇させる。
「ここあがブーストしたレディボムでヴァンガードを攻撃!」
パワーは合計して15000となる。
コーリンは、
「・・・ノーガード」
そのまま受ける事を選択する。
天道虫を模した女性“レディボム”が、小型の爆弾を投げつける。
「ダメージトリガーチェック」
引いたのは“バミューダ△候補生 キャラベル”、ヒールトリガーではない。
「プレジャーズがブーストしたフローレスでヴァンガードを攻撃」
レンのヴァンガードのフローレスのパワーは16000、
「ニケでガード!」
コーリンはシールドが10000のニケを呼び、ヴァンガードのパワーを20000とする。
ツインドライブでのトリガーは出なかった為、攻撃は通らなかった。
だが、まだもう一体のフローレスの攻撃が残っている。
しかも、2体分のプレジャーズのスキルで強化されている。
「プレジャーズのブースト、フローレスで攻撃」
レンの最後の攻撃、フローレスの合計パワーは20000。
対してコーリンのリアガードのグレード2アクアでインターセプトをしても+5000まで。
手札で更に10000、最終合計15000で防御しなければ攻撃が通る。
「・・・ノーガード」
コーリンは防御をしない、いや出来なかった。
ダメージチェックでヒールトリガーは来ず、コーリンの負けである。
コーリンの残り2枚は、フローレスとここあ、シールドに出来るのはここあのみで、数値も5000、攻撃は通っていた。
ファイトの鍵を握っていたのは、2枚のプレジャーズ。
『パワー+2000しかないブレザープレジャーズが勝利の行方を決めてしまった』
この結果に唖然となるアイチ。
『あ・・・もしかしてアレは、この事を暗示していた。まさかっ』
自分が体験した未知なる現象、それがまるでこの結果に繋がっていた様に思えた。
その時、
『くっ、なんだろうっ、凄く頭が重いっ』
一瞬視界がぼやけると、激しい頭痛に襲われるアイチ。
「アイチお兄さん?」
カムイが気付くとほぼ同時に、
「アイチ!大丈夫?」
ミサキが駆け寄り、後から支える。
レンは、そんなアイチを見ていた。
ファイト後、PSYから出て、通路に座り込んでいた森川を横切ったレン。
『彼も、か・・・』
彼、アイチに何かを感じていた。
その後、アイチの頭痛が治まり、1人で歩けるようになった為、3人も帰ることに。
「戸倉ミサキさん」
出ようとした時、スイコに呼ばれたミサキ。
「・・・何?」
「彼のこと、お願いね」
彼、とは当然アイチのことで、そんな事をいきなり言われて、一瞬ポカ〜ンとなる。
スイコは相変わらず余裕の笑みを絶やさず、コーリンは先程負けて不機嫌なのか視線を合わせようとしない。
「・・・アンタなんかに言われなくても!!」
挑戦的な姿勢で返したミサキ、足早に店を出て待っていたアイチを引っ張っていく。
「ちょ、アイチお兄さん、ミサキさん!!」
置いて行かれないようカムイが走って追いかけた。
スイコは、去って行く彼等を見詰め、
『これからどうなるかしら。楽しみだわ』
特にアイチへの期待の眼差しを送った。
カードキャピタルに戻ったアイチ達。
「おかえりなさ〜い。どうでしたか?」
シンが何時ものテンションで出迎える。
「どうもこうもねぇよ!!こいつ等勝手に俺のコーリンちゃんに会いやがった!!」
「さっきからうるせぇよ、マケミ!!」
「俺はカツミだ!!」
早々に口喧嘩を始めた森川とカムイ。
道中もこの2人は何かと騒いでうるさかった。
これと、先程のスイコとのやり取りが相俟って、
「うるさい!!!」
ミサキを苛立たせるには十分だった。
一括で黙り込んだ2人、シンも店長代理も、ラウンジの客も静まった。
「・・・シンさん、もう少し1人でお願い」
店をシンに任せ、ミサキはアイチを連れて、店の横にある家への玄関に向かっていった。
「・・・何かあったんですか?」
「さ、さあ・・・お兄さんがちょっと頭痛したぐらい」
家に連れ込んだミサキ、自分の部屋に半ば強引にアイチを入れた。
「み、ミサキさん?どうしたの?」
困惑するアイチ、帰るまでの間、手を繋ぐ事はしたが黙ったままだった。
ミサキは、俯いたままガシッとアイチの両肩をつかんだ。