魔導新星リリカルなのはFutureS

□第3話「次元獣」
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セブンサード、親しい6人によって結成されたチーム


未熟ながら巣立ちを迎えた雛鳥が


未知なる世界へ飛び立とうとしていた




魔導新星リリカルなのは
FutureS


始まります



OP:ミュステリオン
〔水樹奈々〕



新暦89年5月11日


公開戦技武会の興奮冷めやらぬ、といった余韻に浸る者は、管理局の中には居るだろうし、一般市民にも居るだろう。

だが“彼女ら”はそれ所ではなかった。


昨日結成されたチーム“セブンサード”。
同時期に生まれ、仲の良い男女6名によって構成されたこのチームは、まさに今日が初任務なのだ。



「その最初の任務が、何でおつかいなんだろう〜」

はぁ〜とため息をつくのは、セブンサードのムードメーカー“リエラ=ハラオウン”。

「リエラ。“謎の敵に襲われたイサキ一尉と八神一尉に事情を聞きに行く”事は立派な任務だよ」

双子の兄“カレル=ハラオウン”が言い聞かせる。


「でも信じられないなぁ。ミョウさんとレギルさんが襲われて、負けるなんて」

“カシュリア=リコルヌ”は、これから会いに行く人物と幼い頃から親交があり、その強さも十分知っている。

そんな2人が負かされたとなれば、任務を度外視しても行く意味がカシュリアにはある。


尤も、


『こっちにガーネいないんだよねぇ〜・・・はぁ〜』

こっちの“ミョウ=イサキに聞きに行く組”3人に、想いを寄せる少年がいないのは、贅沢な不満であった。




第3話「次元獣」




ミョウは、今日は非番で自宅に居るらしい。

訪れたのは、クラナガンの外れの住宅地。

そこに、周りより大きめで、敷地内に道場らしいものが見える。

で、その家の門の表札に“イサキ”のファミリーネームが刻まれている。


「・・・おっきいね」
「確か、部下の人達呼んで合宿する事があるとか」
「兎に角、呼んでみよう」

カレルが、門のインターフォンのボタンを押す。



『はい、どちら様ですか?』

数秒後、女性の声が聞こえた。

「すみません。私です、カシュリアです」

押したカレルではなく、カシュリアが自分の名を名乗ると、

『リア?!久しぶりね、ちょっと待ってて!』

歓喜の声をあげて、通話を切った。


すると、直に門のロックが解除され、静かに開いた。

カシュリアを先頭に敷地内に入ると、

「リア!」
「ナヴィさん!」

先程の声の主である、緑色の髪の女性“ナヴィ”が出迎えた。


「お久しぶりです!あ、こっちは友達で同じチームのっ」
「カレル=ハラオウン執務官補佐です」
「リエラ=ハラオウン空曹です!」
「もしかして、クロノ提督の?昔からあなた達の親御さんには、お世話になっていました」

丁寧な挨拶を終えて、ナヴィは3人を家の中へ招きいれた。


リビングに案内されると、


「カシュリア、久しぶりね」
「ドゥーエさん」

長いブロンドの女性“ドゥーエ”が待っていた。
それも、腕に小さな男の子を抱いて。

「可愛いぃ〜♪」
「ドゥーエさんの子供ですか?!」
「そうよ。“コウキ”、お姉ちゃん達にご挨拶よ」

母親譲りの髪と父親譲りの赤い瞳が特徴的な“コウキ”は、

「・・・んにちは・・・あぅ・・・」

恥ずかしいのか小さく挨拶し、母親に抱きついて顔を隠した。
まだ今年で2歳、人見知りが激しいようだ。

「あらら」
「リエラ、あんまりしつこく見ちゃダメだよ。すみませんが、ミョウ=イサキ一尉はどちらに?」

カレルが尋ねると、二階のほうからドタドタ音が聞こえた。



「お父さん、はやく〜」
「パパ、おきゃくさんだよ〜」
「分かってるから、引っ張るなって!」

男女2人の子供達“フォルテ”、“リリム”に引っ張られてやってきた赤い髪の男性こそ、


「ご無沙汰してます、ミョウさん」
「暫くだな、カシュリア」

セブンサードの任務対象である“ミョウ=イサキ”である。




世界が1つの宇宙に統一された時、様々な文化が交錯するようになった。
その為、法律の面で問題が発生するのは至極当然のこと。

その1つが、結婚である。

惑星によっては、複数人による婚姻が可能であり、コレをミッドチルダの法律でも適応するか否かで審議が行われた。

結果、6年前に成立、ミッドチルダの戸籍でも複数人による婚姻届が出来るようになった。


で、施行されたと同時にミッドチルダ戸籍で一夫多妻の届出をしたのが、

このイサキ家である。


現在の家族構成は、

夫のミョウ、

第1婦ナヴィと息子フォルテ(4歳)、

本日仕事で外出中の第2婦エリスと娘リリム(3歳)、

第3婦ドゥーエと息子コウキ(2歳)、


と、なっている。


これは余談ではあるが、ミッド初の一夫多妻の一家と言う事で何度かメディアの取材があったらしい。





「昔は何も思わなかったけど、今考えたら凄いですよね、ミョウさん」
「生暖かい目で見ないでくれ、カシュリア」

イサキ家の道場に場所を移し、ミョウと向かい合う形でカシュリア達は床に座っている。
カシュリアの家、リコルヌ家も一夫多妻と言える状況だったが、当たり前だが正式なものではなかった。

「昔、父が言ってましたよ。アイツは俺を超えた、って。その意味が分かったのはっ」
「恥ずかしいから、もう止めろ」

改めてアレやコレや言われると、流石のミョウも羞恥心に苛まれる。

ゴホンッとカレルが空咳をして、場の空気を変える。

「それじゃあ、仕事の話に移りますね」
「ああ。そうしてくれ」

気を取り直して本題へ、先日ミョウを襲った相手についての話になる。
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