dream

□龍崎京
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昼休み、化学準備室にて



「…失礼しまーす。京先生…」
クラスの課題を提出しに来たあかねは化学準備室のドアを開けた。
「…京先生?」
いつものように、のんびりした返事が返ってこない。居ないのか、と少しがっかりしながら中に入る。
相変わらず菓子の包みやノートや用紙などが散乱している机に何とかスペースを作り、ドサッと課題を置いた。ふぅとため息をつく。
「また片付けなきゃ…」
ぐるりと辺りを見渡しながら苦笑する。すると、一回り高く積まれた資料の山が連なっている場所から微かな物音がした。
「…?」
静かに近付いて、そおっと覗き込む。
すぅ、すぅと寝息をたてて眠っている京先生がいた。
「わぁ…」
いつも校内のどこかで昼寝をしている京先生だが、久しぶりに間近で寝顔を見た。綺麗な寝顔に思わず見とれてしまう。

「疲れてるのかな…」
見ると仕事をしていたのだろう。ペンが横に転がったままで、何かを書いている途中であった。それと食べかけのクッキーが置いてあった。
すぐ目の前にある京先生の寝顔をじっと見つめる。ふとあかねにある考えが浮かんだ。自分の力は確かそういうものだ。それに神である京先生の巫女ならなおさら…。



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