dream

□駿河幸輝
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しばらくして静かに寝息をたてたあかねを起こさないようにそっと幸輝はベッドから起き上がる。
足元には無数の写真が散らばっていた。懐かしい、二人で築いたたくさんの思い出。その中の一枚を拾いあげあかねの枕元に置いた。
「…あかね。ごめん…ごめんな…約束破って…一人にして」
そうやって嗚咽をこらえながら幸輝は何度も呟く。そして同時に最愛の人の幸せを願う。
「…頼むからもう泣かないで」
涙のあとが残るあかねの頬をそっと撫で唇を重ねる。

ドアノブに手をかけ、幸輝は後ろを振り返る。
「あかね…もうすぐ朝が来るよ」

その言葉にあかねは仄かに微笑んだようだった。



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