dream

□ヴァン
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crybady


「うぉ!何泣いてんだよ!?」
戻ると姫野が泣いていた。
というより目を真っ赤にして怒って…る?
「な、何で…置い、ていったん、ですか?」
やっぱり怒ってやがった。
「置いていったってお前…」
お前を危険にさらすわけにいかねぇだろ、
となだめるように頭をなでる。
「で、でもヴァン先、生だって、あ、危…」
あーあ、泣き出したよ。参ったな…
ぽりぽりと鼻をかきながら途方に暮れる。
「俺はこいつに一番弱いんだかな…」
それでも必死に泣き止もうとする様子は純粋に可愛いし愛しさを感じる。
…って言ったらもっと怒るよなぁ。

「わ、私何にも出来ないし、むしろ、邪魔で
足ひ、引っ張るか、もしれま、せんけど、」
─先生が怪我するのは嫌なんです─
そんなふうにしゃくりあげながら、
けど顔をまっすぐ上げて言うもんだから
「ったく邪魔なわけねぇだろ…」と
抱き締められずにはいられない。
「俺は凄腕なんだぞ?大丈夫だって」
な?とぽんぽんと頭に手をやる。


「あ〜ぁ、いい女が台無しだぞ?」
まるでガキだな、だなんて言ったら
「ガ、ガキなんかじゃ…」
「わわ悪かった!だからもう泣くな!な?涙ストーップ、プリーズ!」
俺の必死さがおかしかったのか
やっと姫野がくすくすと笑う。
つられて俺も一緒に笑ってしまう。
全くこいつといるとしょうがねぇぜ。
けれども、姫野といる時が
一番幸せな気持ちになれるんだよな。



「って、何でまだ泣くんだよ!?」
「いや今度は何か…嬉しくて…」
「………そ、そうか」







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