ノベル
□クローバー
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「ビュティお姉ちゃん!!」
暖かな日差し降り注ぐ午後のこと。
木と木の間にロープを吊るし洗濯物を掛けているピンクの髪を見つけて、ポコミは嬉しそうに駆け出した。
「ポコミちゃん」
両手を広げ突進するように抱きつくポコミの体を、ビュティは洗濯物の手を休めて優しく受け止める。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん知らない?」
服に埋めていた顔を離してポコミは尋ねた。
「へっくん?へっくんならボーボボ達と一緒に特訓に行ったよ」
「えー!!また行っちゃったの?!いつ?!」
「えっと、さっきかな」
「なんだぁ……今日は遊べると思ったのに」
いつもそうだ。
ヘッポコ丸はポコミに何も言わず、一人で特訓に行ってしまう。ポコミはそれが不満だった。せっかく再会出来たのに、なぜ兄は自分と一緒に居てくれないのだろう。特訓の相手だったら自分でも十分出来るのに。もしかして会いたいと思っていたのは自分だけなのだろうか。
わがままは言えないと分かっていても、寂しさは募る。
足元に転がっていた小石を蹴っていると、ビュティがポコミの手を取ってにっこりと笑った。
「じゃあポコミちゃん、私と遊びに行こうよ」