ノベル
□正月
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旅館から外に出られたのは良かった。これ以上部屋で暴れたら追い出される可能性も出てきた筈だから、好都合だ。
しかし・・・この神社に来るまでも本当に大変な思いをした。
ビュティはかれ掛けた喉を押さえて、けほっと一回咳き込んだ。
彼らは、歌って踊って暴れてねじれて透き通って溶けて跳ねて合体してプルコギして離れて穴を掘って金塊を発見して骨肉のお争いを繰り広げて秘密組織を立ち上げて、最終的にはテロ騒ぎまで起こしたのだ。
終わりが見えない。
「ひいー・・・っく。ええなぁ。酒はええなぁ・・・」
「あ、あんた!もうやめとくれ!昔のあんたに戻っておくれ!!酒は、酒はもうやめて―――」
「うるせぇ!!俺に指図するな!!」
「きゃぁ!!」
「へへへ・・・もっと持って来いよ。甘い甘い、美酒をよぉぉ・・・!!」
甘酒だよ。
今だ!ここだぞ!とツッコミを期待している3バカトリオの視線が痛い。
「・・・・・・甘酒だよ」
『OH!ノンアルコォォ〜〜〜ル!お子様も安心して飲めるよ♪』
いい加減ツッコミ疲れた。
最後のツッコミを力なくこなし、ビュティは一人、ざわざわとざわめく人ごみから離れて行った。