キミが居たから -中1-

□結果
1ページ/1ページ

 手紙を見たら、まず2つの言葉に目が留まった。

『ゴメんなさい。』

『友達として仲良くしていきたいです。』

 案の定、付き合う事は無理だった。
家へ着き、手紙を何度も熟読した。涙が溢れて、手紙の上に1粒、零れ落ちた。
     これが、振られたっていう感情なのか・・・。
 でも、『友達として、仲良くしていきたいです。』と、いう言葉が何よりの励みになった。

 翌日。皆から、結果を聞かれては、

「玉砕。」

と、ただ一言、答え続けた。
悲しくも、現実を受け止めるために、わざと明るく振舞った。
が、周りの男子からは、悪口が待っていた。

「梅(俺のアダ名)何ヵ、どぉせ振られると思ったゎ!!」

「やっぱり、梅は振られたヵ!!」

「竹内なんか、やめとけ。」

必死で耐え抜いた。
女友達からは、励ましの言葉が待っていた。と、同時に、俺の愚痴を竹内に言う者も居た。
窮地に追い込まれた末に、ストレスの発散法として見つけ出した、サイト。
《顔文字屋チャットルーム》

ココでは、自分の悪口を言う者は1人もおらず、皆が俺の存在を認めてくれた。親友かのように。
そこで、愚痴やら学校の話やらをして、自分のストレスの捌け口として利用していた。

とある日、チャットへ行くと、郁とサスケという人に出会った。2人は現実上の友達らしく、俺と気が合った。
 そして、5月7日。郁に告白された。
俺は、
(莉沙を裏切るのは・・・)
と思ったが、告白される経験が無かったので、その場の流れで付き合う事となった。
チャット上の彼氏として。
 郁も、現実上の彼氏は居て、互いに現実で好きな人が居るというのは承知の上だった。

 郁と付き合い始めて、学校が楽しくなった。
学校では愚痴を言われる日々だったが、そんなことは気にしなくなった。
 郁の本名は「小春」。チャットでは、郁から小春と呼ぶようになった。
 
 正直、話す度に莉沙への愛情が薄れ、小春への愛情が深まって行った。苦悩だったが、今のままでいいと、思っていた、今は・・・。

 5月22日。親父の知り合いで、パソコンに詳しい人が家に訪れて、メールが出来るようにしてくれた。
 やはり、1番にメールしたのは小春。
初心な心境だったが、会話が弾んだ。

<烏龍だょ〜、メール出来るようになった!!送れてる?>

馬鹿丸出しで無邪気なキャラの俺になって、初めてのメールを送った。

<送れてるよw
 メェルできるようになったね(●´艸`)ヾ
 小春も大・大好きだょォオ↑↑(*∩ω∩)テレw>

小春もノリが良くて、11時半までメールをしていた・・・。

次の日。学校へ行き、女友達が話しかけてきた。

「莉沙ちゃんとは、どぉ〜?」

「全然、上手く行ってない・・・_| ̄|○」

「頑張れょぉ〜、勇気出して^^」

「ぅ・・・うん。」

勇気を・・・出して!? この一言が莉沙への愛情を深めた。
その日の夜。小春とはあまり、喋ることな無かった。1階へ向かい、便せんと封筒を取り出す。

                    2度目の告白だ。

正直、玉砕するに違い無い。しかし、今の自分の気持ち、状態、全てをありのままに伝えようと思った。
 そして、次の日の帰り。すでに部活は始まっており、俺はバスケ部で莉沙はソフトテニス部。
 その日は、漢字検定があるらしく、希望者のみ受けることになっていた。

 俺は受けなくて、莉沙は受けたので、その時間を利用して、人目を気にしながら、下駄箱にそっと、汚れないようにして、手紙を入れた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ