その他

□( ^ω^)生ける者死する運命のようです(1)
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 一日は二十四時間ではない。
 その隙間に生まれた、僅かな時の中では月は大きな顔で、天上から人々を見下ろす。その背後に張りついた緑色の空が、その不気味さをより一層深めているようだった。

 『彼』がそれを知るは、およそ半年前であっただろうか。

 回想に耽る男の瞳に映るのは、その不気味な夜空と小さな『彼』の姿。遠方に位置する巨大な橋の上で一つの大きな存在を囲み、その小さな身体を懸命に動かすのは決して『彼』のみではなかった。


(  ∀ )「最後のシャドウ――しっかりと倒してくれたまえよ」


 男の嬉しげに細められた眼に映る月は、果てしなく丸い――そう、今宵の月は満月だった……。



────────────


 刹那、凄まじい爆音と共にその爆発と比べれば余りにも小さな人影が、闇夜に飛び出す。

(; д )「くそッ!一体どうなっている!」

 慌ただしく首をキョロキョロと動かし、辺りの状況を掴もうとするその少年は、苛立たしげに舌打ちをすると、声を荒げる。

(;゚д゚)「みんな!無事か!?」


从 ゚∀从「……視界が不良で確認が困難だ――渡辺ッ!」

 また、少年から少し遠くで同じように声を荒げるのは、白髪の少女。闇夜にもはっきりと映るその艶やかな容姿には、思わず眼を奪われそうになるが、そんなことを言っていられる状況で無いことは誰でも分かっていた。

 爆音が響いていても、よく通る少女の声だったが、事前に装備された小型マイクが声を拾い、正確にその対象へと伝える。


从'ー'从「ハイッ!」

从'ー'从「順次、確認報告します……!」


 先程の少女よりもさらに遠方で返事を返す、渡辺と呼ばれた少女は、深く眼を瞑り、集中を高める。

 すると、先程から渡辺を覆うように現われていた、一体の闇に似合う如き悪魔が渡辺にしか聞こえない言葉で何かを囁く。
 間もなく、暗転した渡辺の視界に朧気と人影が映りだす。

 それは手前から順に。


( ゚д゚)

( ><)


从 ー 从「ミルナ先輩、ビロードくん」

 拳を構える先程の少年と、身丈以上もある槍を構えるまだ幼い男の子の名を渡辺は順に口にする。
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