隣の若くんSeason1

□隣の若くん 守りたい人
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その後も告白ラッシュは続いた
玉砕した者はショックのあまり口をきこうとせず
ただ、振られたとしか言っていないので
彼氏の存在は未だ知られていないのだ

滝夜叉摩耶は慣れないことが続いたので疲れていた
さらに、告白してくる人たちは殆ど、顔を知っているという程度の人たち
知らない人と喋るのが苦手な滝夜叉摩耶は
それだけでもう、疲れてしまう
滝夜叉摩耶は疲弊していた

誰かに相談したかったが
こんなことをどうやって話したらいいのかわからない
日吉にも何も言えなかった
知られたくなかった


ぐるぐる回るたくさんの男の子たちの顔
私、知らない、
どうして貴方たちは私のことを知っているの?
私、気付かなかった
貴方たちに見られていたこと
私、私、とっても酷い人



たくさんの男の子たちの中に白石の顔が浮かぶ
白石さんに会いたい
あいたい

滝夜叉摩耶は携帯を手にした





待ち合わせの場所に足早に向かう
早く白石さんに会いたい


息を切らしながら急いだ
空はもう暗く、星が瞬いている
待ち合わせ場所に白石はもう来ていたようだ
白石の後ろ姿が見えた
安堵したような微笑みを浮かべる
声を掛けようとしたとき、滝夜叉摩耶は愕然とした

白石は誰か知らない女の子とお喋りをしていた
女の子はとても楽しそうで親しげだった
腕に手を絡ませているようにみえた
白石の顔は見えない

滝夜叉摩耶の足元が、ガラガラと崩れてゆく
自分の心臓の音が強く響いた

滝夜叉摩耶は踵を返す

駆け出したとき、自分の名を呼ぶ白石の声が聞こえた気がした


カーテンを閉め、ベッドにうつ伏せになる
(さっきの子可愛かったな、白石さんの学校の人なのかな
 あんな可愛い子に告白されたら、きっと…私なんか)

携帯が鳴った
出たくなかった
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