隣の若くんSeason1

□隣の若くん 喧嘩するほど…
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「若、若ちょっと付き合って」
いつもの部屋、いつもの調子で滝夜叉摩耶は日吉に声をかける
「やだ」
間髪いれずにキッパリ断る日吉もまたいつものとおり
「若のお母さんが、若を自由に使っていいって
 一緒にマツキヨ行こ」
「勝手に決めるな」
「いいじゃない、はやくはやく」
滝夜叉摩耶は階下へ降りてゆく
しばし沈黙の後、日吉の部屋のドアが開かれる
そこからは、強制連行
「あのね、私の使ってるシャンプーが特売なの
 でもね、お一人様一点限りなのよ。だから若も来て欲しいの」
道すがら、事情を説明する
駅前のマツキヨは日曜ということもあって混雑していた

「若、そっちじゃないよ、こっちの黄色いの」
人波に流されそうな滝夜叉摩耶の声が届く
「お前はピンクが好きじゃないか
 バカみたいにピンクばっかり集めてるだろ?」
「ピンクは好きだけどマシェリは黄色の方が香りがいいのよ」
「どっちでも同じだろ?俺が買うんだからこっちでいい」
人の波をぬって日吉はレジに向かう
付いてくる滝夜叉摩耶は危なっかしい
いちいち人にぶつかってしまう
「もう、勝手に決めないで」
滝夜叉摩耶は今にも人の波に飲み込まれて何処かへ流されてしまいそうだ
「勝手なのはそっちだろ?」
見かねた日吉は滝夜叉摩耶の腕をひっぱり自分へ寄せる
ほっと息をつく滝夜叉摩耶


家につき香りを確認する滝夜叉摩耶
ふんふん、ふんふんふん
「やっぱり、黄色の香りの方が好き、若もほら、全然違うでしょ?」
「香りなんて、どれでも一緒だ」
「こっちのピンクから使っちゃおう」


次の日滝夜叉摩耶が側を通り抜けたとき
やっぱりちょっと違うな、と感じる
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