隣の若くんSeason1

□隣の若くん 嵐の予感?
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「滝夜叉摩耶ちゃん」
廊下を歩いていると忍足先輩に声を掛けられた

忍足先輩とは仲が良いということはない
それなのに滝夜叉摩耶のもとに向かう忍足先輩は
にこにことそれはもう心の友といわんばかりの笑顔でやってくる
若干恐怖を覚えたが
日吉の先輩であるので失礼になるようなことはしたくない
にっこり笑って返事をする
「忍足せんぱい、どうかされました?」
多少の引きつりは見逃して欲しい
「折り入って頼みたい事があるんやけど」
「頼みたい事?」
突然のことに目をぱちくりとさせる
「滝夜叉摩耶ちゃん、彼氏おらんよな?」
「はい、それがどうかしましたか?」
男の子というものに全く興味のない滝夜叉摩耶は
同じ年頃の女の子とは異彩をはなっていて
それが、恋というものに臆病な男子や
色恋沙汰を面倒くさいと思う男子たちに癒しを与えている
それ故男友達はそれなりにいるが
彼氏と呼べるような存在は今までいたことがない
男子たちが日吉に遠慮しているという理由も皆無ではないが
滝夜叉摩耶はそんな理由があろうことは到底気がつかない

「せやったら、ちょっと日曜付き合ってほしいことがあんねんけど」
「何故ですか?」
「日曜に従兄弟と遊ぶんやけど、
 なんや友達も一緒らしいねん
 そんで俺も誰か連れてくゆうことになったんやけど、
 どうせやったら女の子の方がええやろ?」
どうゆう思考回路をしているのだろう
少しあきれつつやんわり断ろうとする
「それでしたら、私でなくても良いのではないですか?
 忍足先輩女の子のお友達多いじゃないですか」
「あぁ、あいつらは駄目や。もっとこう色気のないっちゅうか
 男に色目使わんような楽な子がええんや」
何気に失礼なことを言う先輩に
これは怒った方がいいのか考えていると
話が決まってしまったようだ
「そうゆうことやから、日曜空けといてや
 アドレスも交換しといた方がええな、……ほい完了」
いつの間に人の携帯を盗ったのだろう
ポケットにあったはずのそれは忍足先輩の手のなかで赤外線送信をしている


半ば放心状態で忍足の後ろ姿を見送った滝夜叉摩耶は
日曜のことを思った

何着ていけばいいのかしら


思うことは他にもあるだろうに
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