隣の若くんSeason2

□隣の若くん 遠足大波乱前編
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明日は全校挙げての遠足だ
滝夜叉摩耶は一週間前から、楽しみにしていた
なぜなら、シーに行くのだ
その上一週間前に、氷帝学園貸切らしいという噂が広がり
今日、それが事実だということが発覚したのだ
跡部さんのやりそうなことだが
たかだか学校行事でここまでするとは

日吉とは対照的に、テンションの高い滝夜叉摩耶は
うきうきと明日の支度をしている

「貸切ってことは、すごく空いてるよね、きっと
 シーってまだあんまり行ったことないでしょ?
 あー、楽しみだな」
さっきからずっと同じようなことを言っている
「デジカメと、ハンカチとー
 お財布でしょ?あとなにか必要?
 若はもう準備終わったの?」
日吉は、すでに一時間も前に準備は終わっていた
所要時間は十分程度
滝夜叉摩耶は何時間かかっているのだろうか

「あ、そうだ
 チケットホルダー、どれにしようかなー?」
がさごそと、クロゼットを探っている音がする

「若にも貸してあげる」
はいこれ、と腕を精一杯伸ばして差し出す

ペアのチケットホルダー

「俺はそんなもの使わない」
一瞥した後、日吉は冷たく言い放つ
「あった方が便利だよ?
 ファストパス取るとき出しやすいし、なくさないし
 首にかけてると可愛いし」
日吉に可愛さを求めてどうするのだろうか

受け取ってくれない日吉に諦め、滝夜叉摩耶は部屋に戻った

荷物を詰めながら、まだ話続けている
「この前、ビアンカと撮れなかったでしょ?
 だから、明日は絶対撮ってもらうんだー」
日吉に話しかけているのか、独り言なのか判別がつかない
しかし、急に真剣な表情になり窓の方によって来た
日吉の瞳を見つめ、ぐっと身を乗り出すので
何事かと思った日吉は、不覚にもたじろいでしまった

「でもね、シーにはフック船長がいないのよ」

どうでもいい


バカらしくなった日吉はとうとうカーテンを閉めてしまった
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