隣の若くんSeason1

□隣の若くん 彼氏はだあれ?
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今日は白石と初めてのデート
もう一時間も鏡の前にいる

「若、こっちとこっちどっちの方がいい?」
「何でおれに聞くんだよ」
「自分じゃわからなくなってきちゃった」
「じゃあ、どっちでもいいだろ」
「そんなこと言わないで、ねぇ」
冷たい日吉にそれでも食い下がる滝夜叉摩耶

正直他人のために着飾る滝夜叉摩耶を見るのは面白くない

「そっちの、りぼんの付いたワンピースでいいんじゃないのか」
適当に答える
「こっちね、分かった」
「着替える時は…」
「カーテン閉めろ、でしょ?」
笑って滝夜叉摩耶はカーテンを閉める




待ち合わせ五分前
白石の姿はない
「滝夜叉摩耶ちゃんこっちや、こっち」
茂みの中から白石の声が聞こえる
「白石さんかくれんぼですか?」
「そやないけど、似たようなもんやな」
がさがさと出てきて服の汚れを払う
白石さんって面白い人だな、と滝夜叉摩耶は思う

滝夜叉摩耶をまじまじと見つめる白石
滝夜叉摩耶は裾に二箇所大き目のりぼんがついたワンピースに白いタイツという格好だ
ハート型のペンダントが胸元で可愛らしく輝いている
「かわええな、そのかっこ」
「うふふ、ありがとうございます。白石さんも、とっても格好良いです」
「そやろ?今日鏡の前で二時間も考えとったんや」
「え?それはすごいです、私は一時間でした…」
しゅん、となる滝夜叉摩耶に本気で可愛いと思う白石
「ごめんな、嘘や本とは俺も一時間くらいや
 そんな暗くなるとは思わんかった、ごめんな」
困った顔をして謝る白石
しょんぼりしてしまったことが恥ずかしくなった滝夜叉摩耶は
白石に謝る
「あ、ご、ごめんなさい。しょんぼりしちゃって
 白石さんが謝ることではないです
 ふふ、白石さんもお洋服選ぶのに悩む方なんですね」
「あたりまえや、今日は特別可愛い子とデートなんやで
 気合も入るってもんや」
「うふふ、白石さんって面白い」
「本気やで」
「ふふ、ありがとうございます」

「行こか」
「はい」
ちょこちょこと付いてくる滝夜叉摩耶
白石は少し速度を落とす
「滝夜叉摩耶ちゃん」
すっと手を差し出す
「あ」
少し顔を赤らめ、滝夜叉摩耶は手をとる
軽くにぎると、強く握り返された
「あぅ、」
「あ、ごめんな、力入れすぎたわ」
緊張してつい力が入ってしまう白石
「平気です」
にっこり笑う滝夜叉摩耶
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