隣の若くんSeason1

□隣の若くん 守りたい人
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「ん、」
滝夜叉摩耶が目を開けると
白石が心配そうに覗きこんでいた

夢かしら?
と思いもう一度目を瞑ってみる
目を開けるとやっぱりそこには白石がいた

「白石さん?」
驚いて起き上がる
「あ、寝とってええで」
無理矢理寝かせる
「ど、どうして?」
「日吉くんが連絡くれてな、滝夜叉摩耶ちゃんが大変なことなっとるって」
「若が?」
「部屋で倒れとったんやて?
 顔色、悪いな」
じっと見られて滝夜叉摩耶は少し恥ずかしくなる
「最近、眠れなくて、」
「この前のこと気にしてんやろ?
 ごめんな、変なとこみせて…
 それで悩んでたんやろ?」
「え」

そうなんだけど、そうじゃなくて、
白石さんが謝ることでもなくて…その、あの
滝夜叉摩耶は上手く言葉にできず、
口を半開きにしたまま固まってしまった

白石がとても悲しそうな顔をしているのだけ瞳に映る
「電話も拒否られとるし…
 嫌われるの、当たり前やと思う…
 俺が悪かったわ」
滝夜叉摩耶は目を丸くする
「ごめん、具合悪い時にする話やないな
 何か飲むか?買ってくるわ」
白石は立ち上がろうとする
「あ、いえ、あの」
滝夜叉摩耶はとっさに白石の袖を掴む
「私、あの、違います
 悩んでいたのは、そうなんですけど、
 嫌いになんてなってません
 嫌いになるなんて、そんなこと絶対にないです
 あの、私、ごめんなさい
 誰にも会いたくなくて、電話もメールも、する気になれなくて…
 だから、その…、」
白石は座り直し、滝夜叉摩耶の頭を撫でる
「落ち着いて、少しずつ話してくれればええから」
優しくしてくれる白石に滝夜叉摩耶は流れる涙を止められなかった
自分勝手で着信を拒否し、白石を傷つけてしまった


滝夜叉摩耶は少しずつ、涙の合間に話し始めた
自分の所為で人が傷ついてしまうこと
自分の知らない、学校での白石のこと
誰にも相談できなくて苦しかったこと


話終わったとき白石はわなわなと震えていた
「ゆ、許せへん…
 俺という彼氏がおるっちゅうのに図々しいわ」
滝夜叉摩耶は白石を見詰める
白石はキっと滝夜叉摩耶を見、キッパリと言い放つ
「滝夜叉摩耶ちゃんは何も悪い事あらへん
 恋っちゅーんはそうゆうもんや」
何だか怒られたみたいで滝夜叉摩耶は身を竦ませる
そんな滝夜叉摩耶の手をぎゅっと握り締める
「もう女子とは喋らんから安心し
 大体、普段もそんな喋ってへんし
 俺、男友達の方が普通に多いで」
勢いに圧倒される滝夜叉摩耶
「俺が滝夜叉摩耶ちゃんに惚れたんや
 もっと自信持ってええよ」
「は、はい」
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