†REBORN!!花園†

□紅と闇の中の欲望
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「………っ、ぁ……」

「………ん」


光の入らない暗い部屋に、静かに血液をすする音が響く。


「………っハァ………」

「………」

「…………んっ、もぅ……やめ……っ」

「……恭弥」


制止の声が上がり、ようやくディーノは唇を離した。


「吸いすぎだよ、あなた……」


頭がぐらぐらする。


「………悪い」

「………」






いつも、こうだ。





この飢えた吸血鬼と出会ってから、吸血鬼―――ディーノは、毎日ここへやってくる。






この身体に流れる、紅い血潮を求めて。






「大丈夫か?恭弥」

「……なら少しは努力してよね……。毎日ギリギリまで飲んでいくくせに……」

「………悪い」

「………………」


致死量ギリギリのところまで飲んで、けれど決して飲み干したりはしない、優しいヴァンパイア。


「……また、明日も来るの」

「………あぁ」

「そう」


じゃあ、もう行きなよ。


「…………」


ディーノから視線を外し、ベッドに腰掛けて今晩の時間をほぼ一方的に打ち切る。
そのまま貧血から布団に倒れこみ、枕に顔をうずめた。


そして、ディーノはその場を去る。


それは、もはや日常となっていた。


ギリッ、と唇を噛みしめる。
噛んだ唇から滴り落ちた血が、枕に作った染み。


血の匂いを感じて、戻ってこないだろうか。


そう考えてしまう自分が情けなくて、悔しくて。
雲雀は唇を噛みしめたまま、声を殺して泣いた。








去ったはずのヴァンパイアが、窓際でその様子を見ていたのにも気づかずに―――






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