†ぬらりひょんの孫花園†
□七夕の夜
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ちりん・・・・・・ちりん・・・・・・
「………珍しく晴れたな」
「あぁ」
七夕の夜。
いつものように、鴆とリクオは酒を飲み交わしていた。
「なんでも、過去10年、晴れたのは3回だけだそうだぜ」
「よっぽど織姫は嬉しかったんだろうさ」
ちりん……ちりん…………
風鈴の音だけが、しばらくの間、その場を支配した。
「………リクオ」
「あ?……ッ、鴆」
振り向きざまに掠め取るように唇を奪われて、リクオは反射的に赤くなった。
そのまま押し倒してくる鴆に抗わずに、リクオはまっすぐ鴆を見つめた。
「なァ、鴆」
「あ?」
「………………何でもねぇ」
「なんでぇ、気持ち悪ィな」
一瞬考えたことに、我ながら何とも恥ずかしくなって、リクオはプイと顔を背けた。
死んでも言えない。
もし、織姫と彦星のように、引き裂かれたとしたら。
鴆は、どうするのだろうと、考えてしまったことなど。
「………まぁ、いわねぇなら、無理矢理にでも言わせるまでよ」
「ん…っ、鴆……!」
合わせを肌蹴させて忍びこんできた鴆の手に、リクオの体はビクンと跳ねた。
「…………リクオ」
耳に響いた鴆の掠れた声に、リクオは全てを手放した。
ホントにリクオが話したのかを知るのは本人達のみ。
→あとがき